その日オレは古びた喫茶店に居た
中学生だったオレはマスターに「いつものアレで」っと大人びたセリフで注文
マスターは「アレね」っとニヤリと笑い厨房に入って行く
注文したオレは「アレ」が出来上がるまで本棚から持ってきた月刊少年ジャンプを読む
ジャンプを読みながら珈琲の香りが漂う店内を味わうのも中学生のオレにはカッコよく感じた
待つこと30分アレが到着した
マスターは「おっとっとっ熱いから気をつけて」といつものセリフで笑いを誘った
到着したアレを見てオレは愕然とした
なぜならオレが注文したかったのは一番値段の安いピラフだったのにマスターはミートスパゲティを持ってきたのだ
オレはすぐさま「マスター、これ間違ってんじゃん!」とふてくされ気味に言う
マスターは「愛嬌愛嬌メンゴメンゴ」と舌を出しテヘっと笑った
オレもついついつられてプッと笑ってしまう
気を取り直し一緒に運ばれて来た粉チーズをパラパラかける
オレは唸った!旨いのだ!
結局ほぼ1本分粉チーズをかけてしまった
育ち盛りの中学生だからこれも愛嬌だ
食べ終わり当時450円だった会計を全部10円玉で支払う
マスターは「ちょうど釣り銭の10円玉が足りなかったから助かるよ」と粋なセリフをくれた
オレは「ごちそうさま!」っと一言残し店を出た
空が青かった
気分がいい
その日からオレはミートスパゲティにかける粉チーズが大好きなった