大沢誉志幸「おそらく女性器の中には感染に必要な『ACE2受容体』がないため、ウイルスが増殖していない。セックスで感染する証拠は見つからなかったと結論付けているのです」(同)
医学博士で新渡戸文化短大名誉学長の中原英臣氏が補足する。
「ウイルスは、相手の体内の受容体を介して感染することが知られています。たとえばB型肝炎ウイルスは口からは感染しない。口腔内の粘膜に受容体がないからです」
が、「セックスだけ」ではうつらないのはいいとして、レポートの出来については首をひねるのだ。
「普通、セックスしたらキスぐらいします。そうしたらウイルスに感染しますよね。何の役に立つ研究なのでしょうか」(同)
そんなお叱りを覚悟していたのか、レポートにはこんなオチがついている。
〈膣以外のセックスや、セックス中の親密接触による感染リスクは無視するべきではありません〉
「週刊新潮」2020年3月19日号 掲載