ジャニー喜多川という“傀儡師”に操られた国 外国人が問う「日本はなぜ少年たちを守れなかったのか」
ジャニー喜多川の小児性愛は何十年も前から公然の秘密だった。「パンドラの箱」の中では何が起き、どんな思惑がうごめき、なぜその蓋は開けられなかったのか。
民主主義国家では、マスメディアが権力を監視する番犬という公的な役割を果たすことになっている。権力者が弱者に虐待や犯罪行為をしていたらメディアがそれを糾弾して当然なのだ。
数十年前、仮に日本の大手メディアがジャニーズ事務所に立ち向かっていたら、数百人の子供を年配の小児性愛者の虐待から守れたのではないか。
最も不可解なのは、喜多川のスキャンダルに関して、臭いものに蓋をするようなところがあることだ。
これは何度も公の場で告発されてきた話だ。にもかかわらず、どうしてこのことを知らずにいる人がいるのだろうか。
告発がピークに達したといえるのは1999年だった。雑誌「週刊文春」が一連の記事で、喜多川がかつて彼のもとにいた子供10人以上に対し、レイプや虐待をしていたと報じたのである。
この一件は国境を越え、当時は世界で最も影響力があった米国の「ニューヨーク・タイムズ」紙にも、きわめて批判的な記事が掲載された。衆議院でもこの疑惑について質問が出た。
喜多川は名誉棄損で発行元の文藝春秋を訴えた。裁判では週刊文春の取材に応じた12人のレイプ被害者のうちの2人が証言したが、2002年に出た東京地裁の判決は、文藝春秋に損害賠償として880万円を支払うよう命じるものだった。喜多川の勝訴だ。