「あ…」
身が傾ぐのを、はっきりと実感した。
心臓が早鐘を打ち、胸の傷からの出血が再開する。
「は…ぁ!」
抑えきれない、乱調。
それは濁流のような、底の見えない荒い激痛。心身を同時に、内側から喰い破るような焦燥感。
追いつかれた—。
「志姫さん? 大丈夫ですか?」
突如胸を押さえ俯いた志姫の変調、これには秋葉も態度を一変させ、その肩に手を伸ばした。
「ん、大丈夫。心配しなくても、平気よ」
志姫はあくまで平静を装ってそれに対応。秋葉が退くか否か逡巡している間に体勢を立て直し、安心させる為に笑顔を取り繕うとして、
「シキっ!!」
窓の向こう。笑う真っ黒な、何かを見た。
破砕音。
志姫の左腕が秋葉を突き飛ばし、右腕が軽快にナイフを掴むのと、
「!」
窓を突破って進入した何かが、志姫に襲いかかるのは同時だった。
爆ぜる。
「っ、志姫さん!?」
秋葉が尻餅をつき、何事かと叫ぶ頃には志姫は部屋におらず。
遠野家の長い廊下、西洋の風を漂わせる装飾の場を流れるように移動して。
「あああああああああっ!!!」
12本のナイフ全てを総動員して、ありったけの防衛戦を繰り広げていた。
思いつかないっ…! 僅かながら投下します、駄文申し訳ない…汗