「それにしても奇遇だね、翡翠」
「四週間も連続で起こることを普通奇遇とは言いません。ところで、いつからそこに?」
翡翠の後ろでは、男がうーんと小さく唸る。
「たしか、君が『このお店は大丈夫なのでしょうか』とか言ってたあたりからかな」
「十分くらいは尾行されていたわけですか……」
つまりは、見られていたわけだ。
男のことを思い出して赤面した所も、見つからずに落胆した所もすべて。
「……悪趣味」
少し悔しくなって、翡翠は悪態をついた。
否定はしないよと、男は苦笑する。
「で、あなたも特売狙いですか? 七夜さん」
半ば当然とも言えることを、敢えて聞いた。
「それももちろんあるが、」
男——七夜志貴は、そこで言葉を切る。
「いちばんの目的は、メイド服を着た可憐な少女に会うことかな」
翡翠の顔面が、一気に炎上する。
「……冗談はやめてください」
声が裏返るのが、翡翠自身にも分かった。
「本心だよ。しかし、相変わらずサービス精神が旺盛だね、翡翠は」
「? 何がですか?」
翡翠は、意味が分からず首を傾げる。
「私服くらい持ってなかったのかい?」
半ば呆れたように、七夜は言った。
そこで初めて、翡翠は自分がメイド服のまま外に出ていることに気がついた。
「〜〜〜〜〜!!」
七夜は、ニヤニヤと笑っていた。
なんというか、すみません
続きは未定
要望があれば書くかもしれません