破産してもたいした悪影響はない
法律的には、少年の慰謝料を親が払う義務はないが、このような高額の請求を行った狙いはどこにあるのか。弁護士法人ユア・エースの正木絢生代表弁護士に聞いてみた。
「スシローの狙いは、同様の迷惑行為が再び起こらないようにするためのけん制だと思います。今回は、場合によっては訴訟費用の回収も困難でしょうが、さらなる迷惑行為で客足が鈍れば、それ以上の損害を被ると判断したのではないでしょうか」
この損害賠償請求は、そもそも認められる可能性はあるのだろうか。
「訴状等を見てみないことにはどちらが有利とは言えませんが、迷惑行為を行ったことでスシローがいろいろな対応に追われたことは事実ですから、賠償額がいくらになるかはともかく、請求が認められる可能性はあるでしょう。そして、少年の金銭状況によって請求額に制限がかかったり、判決で認められる金額が減ったりすることはありません」(正木弁護士、以下同)
そうなると、少年の未来はどうなってしまうのか。
「最後まで争った場合、“〇〇円を支払え”といった内容の判決が出る可能性があります。これを放置すると、財産を差押えされたり、破産の申立てをされるということが考えられます。ただ、報道されているように少年であれば差押えされるような目立った財産があるとは考え難いですし、破産してもたいした悪影響はないでしょう。ちなみに、賠償金について支払えず滞納することになっても、犯罪には該当しませんので、逮捕されるようなことはありません」
悪影響はないにしても、多額の借金を背負ってしまうのはできれば避けたいところ。なんとかスシローと和解することはできないのだろうか。
「和解するのであれば、スシローが少年の懐事情を考慮した結果、賠償額が下がってくることは考えられますが、現状、スシローがこれだけの対応をしていることを考えれば、生半可な内容での和解は難しいのではないかと思います」
少年が舐めたのは、醤油ではなくスシローの“覚悟”だったのかも……。