人間爆弾 伏龍
潜水具を着た日本軍兵士が、海の底で待機し、敵艦を海中から爆破させるという人間機雷。兵士はほぼ確実に爆死する。
五式撃雷15キロ弾頭の棒機雷は当初5mの竿が使用されていたが、海水の抵抗で上手く操れず、竿が2mに変更された。
兵士は、鉛の重り(鉛のベルトや鉛の履物)を纏い、暗い海底を歩いて移動し、敵艦の到着を海底で待つ。潜水兜のガラス窓は小さく、視界が非常に悪い。
潜水缶は、半循環式の酸素供給機で、呼気に含まれる二酸化炭素を苛性ソーダ吸収缶で除去して再び吸入する方式。.
吸収缶が破れたり管が外れたりして、吸収缶の水酸化ナトリウムが溶解し、潜水兜内に噴出して肺を焼くという、きわめて重大な欠陥があり、訓練中に10名以上が事故死した。
兵士は、予科練で航空特攻に志願していた生徒から選ばれた。
生徒たちは、「空に憧れていたのに、暗い海の底に潜って体当たり爆死とは…」と、伏龍兵士に選ばれたことを残念がった。
野比海岸(神奈川県)、情島(広島県)、川棚(長崎県)などで合わせて3,000人近くが訓練していたが、訓練中に終戦を迎えた。
元俳優の安藤昇、小説家の城山三郎は、伏龍の訓練を受けている。