中国は、「一帯一路」沿線国で大規模な土木建設工事を推進している。一方、相手国に多額の債務を負わせる「あくどい商法」を批判されている。中国は最初から返済不能を見込んで大型土木工事を請け負ってきた。目論見どおり返済が不可能になると、債権保全を名目に相手国の不動産を差し押さえる。これが、中国式社会主義のやり口なのだ。
IMF(国際通貨基金)が、この情け無用の「中国商法」に警告した。
「IMFラガルド専務理事は4月12日、北京で開かれた会議で、中国の広域経済圏構想『一帯一路』は待望のインフラを提供する一方で、『リスクを伴う開発により債務が膨らみ、返済負担が増せばほかに回す資金が限られて、国際収支を圧迫する恐れがある』と述べた」(『フィナンシャルタイムズ』(4月13日付)
これまで中国が、しゃにむに推進してきた「一帯一路」事業に水を浴びせる発言である。こうなると、中国は工事費返済不能を理由にして相手国の不動産を担保に取り上げる無慈悲な行動にブレーキを掛けられる。
最近の中国は、すっかり信用を落とすことが続いている。米国からは知財権侵害で関税引き上げという制裁措置が発表された。まだ、実行されないが、中国が真摯に対応して、再発防止策を発動させれば、「懲罰関税」の実行は見送られる。だが今の所、中国は反省するどころか居丈高になって、米国からの輸入に制裁関税を掛けると息巻いている。この失態の上に、今度は「一帯一路」で告発されたに等しい警告を受けている。「世界強国」を目指す中国にとって、手痛い「モラルハザード」の指摘である。