南海トラフ地震評価検討会「特段の変化は観測されていない」
2021年11月8日 19時53分
南海トラフで巨大地震が起きる可能性を評価する定例の検討会が開かれ「特段の変化は観測されていない」とする見解をまとめました。
専門家でつくる検討会は、去年3月からオンラインで開催されてきましたが、8日、1年9か月ぶりに一部の委員が出席して気象庁で行われ、南海トラフの想定震源域やその周辺で観測されたデータを分析しました。
今月1日の和歌山県南方沖を震源とするマグニチュード5.0の地震は、フィリピン海プレートと陸のプレート境界で発生し「南海トラフ沿いのプレート間の固着状態の特段の変化を示すものではない」としています。
また、想定震源域やその周辺で起きていた「深部低周波地震」と呼ばれる小規模な地震は、先月は目立ったものは観測されなかったということです。
このほか紀伊半島西部、四国の中部や東部、それに九州南部では、おととしや去年以降、地殻変動が継続的に観測されていますが、プレートの境目が年単位でゆっくりとずれ動く「長期的ゆっくりすべり」が原因とみられるということです。
いずれもこれまでたびたび観測されている現象で、検討会は「大規模な地震の発生の可能性が平常時と比べて相対的に高まったと考えられる特段の変化は観測されていない」とする見解をまとめました。
評価検討会の会長で防災科学技術研究所の平田直参与は「南海トラフでは、今後30年以内にマグニチュード8から9程度の地震が起きる可能性は非常に高い。いつ大きな地震が起きて津波などが発生してもおかしくないということを改めて思い出し、備えを進めてほしい」と話しています。