『たとえ同じ声であっても彼の声ではないならば要らない』
彼女には正真正銘彼の声が聞こえた。
「七夜・・・志貴・・・」
私のマスターは現れた。
彼女は出会えたこと嬉しくて、
早く契約を結ぶことのみを考えていたため重要な事を忘れていた。
「・・・極死———七夜」
遠野志貴が消える。七夜志貴はゆっくりとまた他の場所へ行くべく歩みを
進めた。
彼女はあわてて彼の後を追いかけようとしたが何者かに首筋を引っ張られた。
「ぐぇ」
彼には絶対に聞かせることができない声であった。
「誰よ!いきなり首筋を引っ張るのは!覚悟はできてるんでしょうね!」
彼女が振り返るとそこにはもう一人の自分であるレンがいた。
「レン!いきなりなにするのよ!
私が高貴で秀麗なマスターと契約するのを邪魔する気!?
・・・え、なに契約できない?どうしてよ?・・・・大元の契約を断ってない?
あ・・・そういえば・・・」
そう彼女はまだ大元の契約を断っていなかった。彼と契約することしか考えていなかったので
すっかり忘れていたのである。
「で、でも今志貴を追わないと次に会えるとは限らないわ、
もしかしたら会えないかも・・・えっ?居場所は逐次伝えるって?
さすが私ね!人が良くできてるわ・・・・・予め言っておくけど志貴に
手を出したら酷い目に遭わせるわよ!・・・何?志貴のことが好きなのかですってぇ!!
べべべ、別にし、し、志貴のことなんかすす、好きじゃないんだから!
操り人形として優秀なだけよ!そうそれだけ!解ったかしら!
レンも早く行きなさい!逐次報告はしなさいよ!」
顔を真っ赤に染めた彼女は
首を傾げているレンを無視して大いなる野望のために駆けて行った。
その場に残されたレンであったが納得したように頷き急いで彼の後を追いかけていった。
凝った表現とかできないんで勘弁してくださいと感想ありがとうございます。