爆サイ.com 甲信越版

💉 新型コロナ・感染症全国


No.11152785
合計:
#8
戦争の美談を聞くようだ

大江千里(ミュージシャン)の記録

●2021年1月10日
一回目のワクチン接種

接種場所である小学校へ時間ちょうどに行ったら大変な列ができていた。2キロくらいだろうか。後ろのほうの男の子に聞くと「俺は11時の回だよ」という。これは2時間待ちだなと覚悟を決める。

「5時間コースだね。ばかばかしい」。そう吐き捨てるように言って離脱する人もいた。しかし、ほとんどの人が従順に列に並び続けた。老若男女のボランティアの案内人がみんな素晴らしく、「寒くない?ハッピー?」と寒空に並ぶ僕たちを励ましてくれる。まるでロックコンサートのアリーナ席に並び合わせているような連帯感がある。

ワクチン接種を終えた人たちがドアから出てくるのが見える。まるで別の惑星から来た異星人のようだ。僕らも、ああいうふうにあのドアから出てこられるのか。結局、思ったほどは待たずに2時間弱で学校の中へ入れた。

和やかな話をして気持ちをリラックスさせてから利き腕を差し出す。

看護師さんに「勇気ある使命を引き受けてくれてありがとう」と言うと、「素晴らしい言葉をありがとう」と笑顔が返ってきた。

そのあと別の部屋に移動して待機する。15分はその場でじっとしていなければならない。時間が来て何もなければ外に出ていい。僕の前の男の子がドアを手で押さえてくれる。「ありがとう」。会釈をして外に出ると光がまぶしかった。

あれから2週間、僕は副反応もなく、いつもと変わらない毎日を送っている。これを打ってもマスク生活やステイホームをやめられるわけではないが、科学の力を立証する一翼にはなれる。もう少しで2本目を打つ日がやって来る。

僕はもう昨日までの僕ではない。新しい僕なのだ。マンハッタンに昇る朝日はまだ少しまぶしく感じるけれど、慣れればどうってことはないに違いない。このまぶしさは、きっと素晴らしい未来が始まる予兆だから。


[ 匿名さん ]
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