そもそも、錦の人間がどれほど優秀で、紀勢町のみならず、大紀町を見事に発展させたか、解っているのだろうか。
勇退された、谷口氏は数年かけ、地道な努力によって、大紀町をまとめ、町民のために尽くされたか。
これは、錦の人間にしか出来ないだろう。
わたしは退職後、故郷、錦に戻り、感激した。
広大な面積になったこの町だが、谷口氏の努力あっての大紀町のまとまりに、感慨深く尊敬と感謝を実感した。
殆どが山しかない地域は、思考に進捗がなく、また、人間が小さいのは仕方がないだろう。
その、頑固な山の人間を谷口氏がどれだけの時間を費やし、粘り強く導き、今の素晴らしい大紀町があることを、どれだけの町民が理解しているのだろう。
古代より栄え、人々が居住し太平洋を背に、穏やかな気持ちを持って今に至る錦は、大紀町内でも誇るべきである。
地域の山のものには到底無理だろう。
本来は錦が大紀町の中心であるべきだ。
しかし、勇退された谷口氏は、山の人間と折り合いをつけるため、その控えめさと広い心から、他地域の発展のため、町の本庁も、山の人間に譲ったのだ。
