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かように国家や民族という人間集団は、その枠の中で自由に、その伝統的価値観に則った国作りが出来る。
外国人が干渉することは出来ないのだ。
しかし、これらの国民…個々の人間集団の伝統的価値観を軽視し、作為的・人工的な正義の教義…ドグマを無理矢理に強制した国が20世紀には存在した。
それが『社会・共産主義国家』だ。
全人類に共通する正義、価値観があるとし、国家や民族の個性や伝統を軽視した。
資本家と労働者という階級を殊更に強調し、世界中の労働者が団結して資本家階級を打ち倒すことを正義としたのだ。
そして世界中の数多の宗教を麻薬と断じ、さらに伝統的価値観を古臭い反革命的なものとして否定した。
“万国の労働者は団結せよ”と呼び掛け、その唯一絶対の価値観を世界中に当てはめようとしたのだ。
これらの国は結局わずか百年さえももたずに消えていったが、それは当然のことだ。
既に述べたように世界中の国々に暮らす国民は皆違う。
日本人労働者がどこの馬の骨が分からない、ロシア人労働者と連帯する意味などない。
かように全人類共通のインター・ナショナリズムなど成立しない。
そんな人間の本質や個性を無視した価値観を強制されて喜ぶ人間などいやしないのだ。
日本人は自分たちに最もしっくりくる社会を作ればよい。
他の国々の国民もしかりだ。
各国の国民が、自国民の話し合いで、自分たちが納得できる法律を作る。
外国人の干渉は排除し、自由な国を作れる。
国家の独立を守ることとは、つまりその自由を守ることなのだ。
