日本に「最新でない半導体工場」を作る理由。TSMC新工場
熊本TSMCで製造するのは22~28nmプロセスの、俗に「ロジック半導体」と呼ばれるもの。ソニーが得意とするイメージセンサー向けの半導体とは技術が異なり、CPUやSoCのように制御を担当する半導体のことを指す。
製造するのは、自動車の制御に使われるLSIのほか、ソニーのイメージセンサーの裏に搭載されている「ロジック処理用LSI」と見られている。
新しい工場は「最新技術ではない」
ポイントになるのは、この工場で作るのが「22~28nmプロセス」半導体である、ということだ。
半導体製造技術は、利用する製造プロセス(微細化技術)によって難易度も世代も変わる。
現在、TSMCが作っている最新の半導体は5nmプロセス。iPhoneやMacBookに使われるAppleシリコンのうち、最新のM1やA15 Bionicはこのプロセス技術で製造されている。その次の7nmは、PlayStation 5やXbox Series Xで使われていることで有名だ。
それに対し、今回の工場は22~28nmのプロセッサーを作るものなので、何世代も前の技術ということになる。PC向けで22nmが「最新技術」だったのは、だいたい10年くらい前の話である。