空気読まず投下、すいません…汗
闇夜の世界の、そのまた闇。
深淵の奥底、予定調和と錯覚するような雑多な黒。
「な…」
路地裏、殺人鬼の路地裏。死の具現、嘆きの園。
その一角に、代行者の姿がある。
「なんで…」
思わず漏らした声は、怯えと震え。
青い髪が生暖かい風に揺られ、従うように法衣も続く。
暖かい風。生暖かい、張り付くような。
温度を奪って去って逝く風は、路地裏を抜け空へ。
「嘘…よね?」
それすら惜しむように伸ばした手は、だが何を掴むでもなく。
そこで青い代行者は、死んでいた。
「…どういう、こと?」
それをアルクェイドは、信じられない目で見据えている。
志姫を秋葉に任せ、自分がやるべき事後処理はないかと走った、その矢先。
新たな目的を前に心機一転した彼女が気付いたのは、血の匂い。
それがあまりにも濃くて、気になった。
人だということは、気付いていた。
「シエル…」
まさか犠牲がこの人物だと、思わなかった。
だが、確認してなお、そうだと信じたくない光景がそこに。
シエルの遺体は、ボロボロだった。
まず両腕。ない、引き千切ったような雑な傷口だけを残して。見渡しても、残骸は見当たらない。
次いで脇腹。喰われたかのように陥没しており、内臓が引き摺り出されたかのように散乱。
足、根元から無い。英単語よろしくジクザグな形に変貌して、壁際に転がっている。
そして…。
「シエル…っ」
思わず、顔を背けた。
顔が。目が、鼻が、頬が、耳が、口が。
全てが、削ぎ落とされていた。
「何なの…?」
声は、かすれていた。
「まだ何か、いるっていうの…!?」
答えは、無かった。
死線は、感じた。