<熊本地震>南阿蘇鉄道、復旧見えず…観光・生活支える線路
毎日新聞 5月6日(金)15時1分配信
斜面の崩落で寸断された南阿蘇鉄道=熊本県南阿蘇村で2016年4月29日、本社ヘリから須賀川理撮影
熊本県高森町と南阿蘇村をトロッコ列車などで結ぶ第三セクター「南阿蘇鉄道」(本社・高森町、計10駅)が、熊本地震で線路や橋、トンネルなどに深刻な被害を受けて全線運休している。復旧に少なくとも30億円、最短で1年以上を要する見通しで、同社は国に財政支援を要請することを検討している。一方で復旧に向け、全国の三セクの鉄道で支援の動きもでている。
【写真】三セク鉄道4社の応援切符
南阿蘇鉄道は地震後、鉄道総合技術研究所(東京都)と共同で被害状況を調査した。特に被害が大きいのは、立野−長陽駅間の峡谷にかかる第一白川橋梁(きょうりょう)や立野橋梁、犀角(さいかく)山トンネルなどで、線路が曲がって土砂に埋まったり、橋脚やトンネルに亀裂が入ったりしている。長陽−中松駅間では「阿蘇下田城ふれあい温泉駅」の駅舎の屋根の瓦が落ちるなどの被害が出た。
残る中松−高森駅間は被害が少なく、車両は無事だったため、この区間は復旧作業に着手すれば3週間〜1カ月程度で部分復旧できる見込み。しかし残る区間については全く見通しが立たない。同社の津留(つる)恒誉(つねたか)専務は「経験のない被害なので、何年かかるか分からない」と語る。