夜、庭で子猫の鳴き声がした。
必死で親を呼ぶ鳴き声に近づき懐中電灯で照らすと、へその緒と胎盤が付いたままの濡れた胎児が仰向けでもがいていた。
子猫は普通、外敵から身を守る為に声を潜めるのだが。
よほどの限界を本能が悟ったのだろう。
母猫はどこに行ったのか？戻って来るのか？産み捨て、育児放棄したのか？
暫し、その場に唖然と佇み思案に暮れたが濡れた小さな体を拭いてタオルの上にうつ伏せに寝かせると泣き止んだ。
母猫が戻って来る事を願い、子猫をその場に残し今、あれこれ考える。
絶叫する子猫の運命は自分にはどうする事も出来ないのだ。
生きていると、やるせない事に遭遇する。
