【「宿命」高沢皓司 (新潮社)】
「田宮高麿(よど号グループ)が平壌で客死した1995年、
その年は春から夏にかけて何度も彼と会っている。
この頃、彼は日本国内に「愛族同盟」と称する政治団体を結成する事を考えていた。
民族主義を最前面に推し出した組織だった。
もちろん、この動きが朝鮮労働党の指導の元に行われていた事は明白だった。
そして、この組織化の中で日本の民族派系組織も取り込んで運動を拡大することが画策されていた。
「やめた方がいい。そんなことはやめろよ」
と私は思わず田宮に向かって言った。
政治的なマヌーバーであることが分かりきっていたからである。
社会主義の理想や自主的な考えを放棄して、政治的に金日成主義を支持したり、推し進めさせたりする事は、
この場合日本という祖国を売らせる事にしかならないではないか。
田宮はその時、一瞬険しい表情で「もう遅い!」と叫ぶように言った」
「もう遅い!」
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「もう遅い!」
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「もう遅い!」
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