そりゃあ、すごい勢いで信者が増えましたよ。他の宗教団体なんて口ばっかりで、本当に神様を見せてくれるところなんて 無いじゃないですか。ところが霊波之光は本当に神様を見せてくれたんだから、そりゃあ信者さんも増えますわな。（編集者注 ： この場合、神様というのは蛍光灯のことです。）
全く新しい人相手に、あと２回ほどやって、ポンと止めました。長谷の奴は本当に頭の良い奴です。
何回もやれば、いつかは バレる。 ばれたらおしまいですからね。
それよりも、たったの３回で ものすごく信者が増えて、しかもあちこちで、「本当なんです。この目で見たんです。」って、やるもんだから信者の増えかたが、すごいすごい。儲かって儲かってどうしようもないほどでした。
私も、装置の制作料と他言無用の口止め料でずいぶんと沢山の金をもらったわけなんです。ところが人間って奴は、本当にどうしようもない卑しいものだとつくづく分かりました。おやじが病気になったり、女房の実家でいろいろ有ったりで、私としては うなるほどの金をもらったし、口止め料ももらったんですけど、長谷の奴が、それの何百万倍も儲けているのがどうにもこうにも恨めしくなって、ぶっちゃけた話、脅迫しちゃったんですよ。
あんまり高く吹っかけると 警察に行かれちゃうかもしれないので 常に大卒初任給の２倍を１ヶ月分として、
３ヶ月ごとに 耳を揃えて現金で支払う。一度でも支払いが滞れば、すぐに このラジコンと蛍光灯のことを
世間にばらす。そういうことでした。
長谷の奴は、しばらく考えた振りをして、「分かった。」と言って、すぐに金庫から最初の３ヶ月分を出して
現金でくれました。あれから３５年ぐらいになりますか。長谷が死んでも 一度も滞ることなく 支払われて
きました。今年は、大卒初任給が１９万７０００円でしたから、１年で４７０万ぐらいにしかなりませんが、
ないよりはずっと良いです。助かりますよ。まあ、息子の時代になっても 払ってもらえたのは幸いでした。
でも、息子の方は年収１０億は下らないって言うんですから、新興宗教ってのは儲かるんですね。どうしても誰かに話しておかないと、安心して地獄に行けない気がして、あなたに話したわけなんですけど。私が死んだら誰かに話してあげてもいいですよ。
