盗品を売っていたフリマサイトから元投手の口座への入金額は、逮捕までの約2年間で約3000万円に上った。
検察側の証拠によると“月収”は約100万円で、横浜市内のマンションに暮らし、ゴルフや外食に頻繁に出かけていた。約2000万円は「競馬に使った」と供述した。
2015年には神奈川県で、窃盗の有罪判決を受けていたことも裁判中に判明。当時は報道されなかったため、家族にも秘密にしていたという。「当時は、何より怖いおやじが生きていた。ばれるのが怖かった」と述べた。
▽母も友人も「このばかっけ」
それでも、秋田の友人たちは温かかった。初公判後に仮釈放され、手元に戻った携帯電話の電源を入れると、高校時代のチームメートからメールが届いていた。「このばかっけ、おめ何やってんだ」。逮捕直後に送られていたこのメッセージは、こんな言葉で続いている。「秋田に帰る場所はある。一緒に謝りに行こう」
古希を越えた母は逮捕後、毎日のように面会に足を運んでくれた。検察官に「お母さん、何と言っていましたか」と問われると、涙ながらにこう答えた。「『ばかっけ』と。だけど、あったかいご飯を作ってくれました」
公判中は「もう誰も裏切らない」と繰り返し、最終意見陳述では「真摯に罪を受け止め、しっかり更生したい」と深く頭を下げた。判決後は、秋田市内で母と同居しながら、メールをくれた友人の下で働くという。