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NO.11621647
電車内に泥酔した女の子がいた。突劂、䞭幎男性が乗降者のどさくさに玛れお圌女の手を繋ぎ、そしお・・・【神野藍】

早皲田倧孊圚孊䞭にAV女優「枡蟺たお」ずしおデビュヌ。人気を䞀䞖颚靡するも、倧孊卒業ずずもに珟圹を匕退。その埌、文筆家・タレント「神野藍」ずしお掻動し、泚目されおいる。AV女優「枡蟺たお」時代の「私」を、神野藍がしずかにほどきはじめた。「どうか私から目をそらさないでほしい」赀裞々に綎る連茉゚ッセむ「私をほどく」第34回。電車内で泥酔し脱力した女の子を芋かけたずき、神野はか぀おの自分の面圱を芋おしたった・・・

神野藍

 【かなりの深酒をした様子の女の子】

 「助ける」「助けない」「自分が守れたのかもしれない」「これぐらい自分自身で孊んだ方が良い」

 凊理しきれおいない感情たちが抌し寄せお、私の思考胜力を党お奪い぀くそうずしおいた。 

 電車の乗り換え案内アプリで終電たでの時間を確認しながら、駅ぞの道を䞀人急いでいる。「思ったより盛り䞊がったな」なんお考えながら歩いおいる間に、予想しおいたよりも䜙裕を持っお駅に到着した。ただ賑やかさの残る構内をずんずんず進む。あちこちで陜気な声が飛び亀っおいる。埐々に忘幎䌚が埩掻しおきおいるのだろう。そんな幎が終わる浮き足立った雰囲気を感じながら、目の前に到着した電車に乗り蟌んだ。

 䞀人、目に぀く女の子が車内にいた。幎霢は私より䞋で、ただ孊生のあどけなさが残り、あたり掟手ではない服装に身を包んでいた。私ず同じタむミングで電車に乗り蟌んでいたが、かなりの深酒をしたようで、駅のホヌムで友人ず別れるずきも足元がふら぀き、䜕床かバランスを厩しおいた。どこか心配の気持ちはあるものの、幞いにも誰かず電話を繋げおいるようなので、「たあこの時期、飲みすぎるこずっおよくあるよね」ず呑気に芋守っおいた。

 そんなこずを考えおいるうちに、車内のアナりンスが私の乗り換え駅ぞの到着を知らせる。「ああ、急ぐこずなく乗り換えできそうで安心」なんお考えながら、ドアの方向ぞず身䜓を向け、人々の流れに沿っお進んでいった。

 ほんの䞀瞬の出来事であった。すれ違いざたであったが、今でもその様子をはっきりず思い出すこずができる。先ほど芋かけた女の子が、脂ぎった䞭幎のサラリヌマンに手を繋がれ、垭に座るように促されおいた。女の子はその状況をあたり理解できおいない様子で脱力しおいた。い぀のたにか繋いでいた電話も切れおいるようで、かろうじお携垯電話を萜ずさないようにぎゅっず握りしめおいるようであった。もちろん、隣に腰かけた䞭幎の男性の目は、心配ずは皋遠い〈色欲にはらんだ目぀き〉で圌女を舐めたわすように眺めおいた。

【もう二床ず同じ蟛酞を嘗めないために】

 胞隒ぎがした。降車しおいく人の波に巻き蟌たれ、その様子を確認し぀぀も気が぀いたずきには駅のホヌムぞず投げ出されおいた。「䞀蚀でも声をかけなければ」ず刀断し、振り返ったずきには音を立おおドアが閉じおいった。どうするこずもできないたた自らの垰路ぞず぀いた。 

 それから長い間考えおいた。ただ珟実ずしお圌女がどうなったかを知る手立おがないため、あれこれ想像したずころで、それは党お〈私が想像した結末〉で終わっおしたう。そんな答えのでないこずをいちいち気にしたずころで、䜕も珟実は倉わらないのだから意味はないかもしれない。ただ、私の心の動きを芳察した結果をここに蚘すこずで、自分にずっお䜕か意味のあるものぞず倉容させられるかもしれないず思ったのだ。

 この出来事を受けお、私の䞭に生たれた二぀の感情の狭間でゆらゆらず揺れ動いおいた。「どんな状況や理由であれ、女の子の心が傷぀くような出来事に遭遇しおほしくない」ず圓然のこずのように思う。撮圱でも、撮圱倖でもあたり思い出したくないような出来事を経隓した身ずしお、出来るこずならばそういう思いを䞀床もせずに人生を歩んでほしいず願っおしたうのだ。䜕幎たっおも尟を匕いおしたうような恐怖は知らない方がこの長い人生は生きおいきやすい。

 しかし䜕も憚らずに蚀うのならば、心の䞭のどこかで「それぐらいの予枬できる事態なんお、自己防衛するべき」ず考えおしたうのは事実である。

 「え、これぐらい分からなかったの ちゃんず自衛をしないず。」

 抱えおいる過去の傷は、䜕床もこの蚀葉で抉られおきた。この瀟䌚で萜ち床なく生きおいくために、自分の身を守れるのは自分しかいないず蚀い聞かせお、想像し埗る悪いシナリオを蟿らないために自分の手で断ち切っおきた。もう二床ず同じ蟛酞を嘗めないために。

【あの頃、䞀番蚀われたくなかった蚀葉】

 皮肉なこずに、い぀の間にかあのずき䞀番蚀われたくなかった蚀葉――「自分はそうやっおきたから、あなたも匷く生きないず」ず誰かに発蚀せずずも、心の䞭で呟いおしたうようになっおしたった。この被害者が責め立おられる瀟䌚に順応しお生き抜いおきおしたったのだなず、どこか物悲しく感じおしたう。「誰も守っおくれない」ずいう事実が、私の瘡蓋をどんどん厚く、そしお硬くしおしたったのかもしれない。

  私の過去は倉わらないにせよ、誰かの未来を倉えるために䜕かできるのならば力を尜くすのが最善であるず理解しおいるし、そうするこずが䞖の䞭に挂う空気を倉化させおいく近道ずなるはずである。ただ、頭で理解しおいるものの「誰かを救うこずで、過去の私ぞの救枈になる」ず蚀い聞かせなければ、ふっず暗い郚分が浮き䞊がっおしたう瞬間が存圚しおしたうのだ。

  己の脆匱さを呪いたくなる。

 そんな愚かさず匱さからこうやっお思考を巡らせおいるのは私自身が䞀番知っおいる。知っおおもなお、そんな存圚を救枈するために未来の䜕かに向けお、過去の戒めを蚘しおいきたいず思う。

第35回ぞ぀づく

文神野藍

※毎週金曜日、午前時に配信予定 


【日時】2024幎01月19日 17:00
【提䟛】BEST TiMES

本サむトに掲茉されおいる蚘事の著䜜暩は提䟛元䌁業等に垰属したす。