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風傳媒現地レポート》DSEI JAPAN 2025に33カ国が集結台湾からは無人機・資安企業が参加
日本で最大の軍事見本市が開催され、各国が次世代の武器を展示し、未来の戦場のトレンドを示す。(防衛省より引用)

日本で唯一となる大規模な防衛・安全保障の展示会「DSEI Japan 2025」が、2025年5月21日から23日までの3日間、千葉・幕張メッセにて開催された。今回の展示会には、過去最多となる33カ国・471の企業・機関が参加し、そのうち日本企業は169社で全体の約4割を占めた。2019年に日本で初開催され、今回で第3回目を迎える同展示会は日本政府の後援を受けており、日本最大規模の防衛装備展示会として定着している。

今回の展示内容は戦闘機、大砲、戦車といった重火器にとどまらず、軽量兵器や最先端技術を応用した装備品も数多く出展され、多様化する現代戦への対応を示す内容となっている。

展示会場の総面積は2万6500平方メートルに達し、主催者は来場者数が1万4000人を超えると見込んでいる。これは、日本およびインド太平洋地域がグローバルな防衛産業において持つ戦略的な重要性を象徴するものでもある。

注目すべきは、日本のIT大手・楽天が、ウクライナの防衛技術機関「Brave1」と協力し、同国のスタートアップ支援と技術連携・復興支援の一環として「Brave1 Powered by Rakuten」ブースを設置した点である。このブースでは、電磁妨害対策、非GNSS(全地球航法衛星システム)測位、ドローン編隊制御、応急処置訓練など、実戦に即した応用が可能なイノベーションを提供する、無人機、医療テクノロジー、デジタルツイン技術を専門とするウクライナの新興企業6社が参加した。

GORE社による軍用ウェア向け「GORE-TEX PYRAD®」技術の展示。(写真/黄信維撮影)

日本最大の防衛装備展に台湾企業も参加

今回の展示会には、台湾の防衛技術企業「Tron Future(創未來科技)」も数少ない台湾企業の一つとして出展している。《風傳媒》が現地で取材したところ、ブースでは技術者が「ソフトキル型無人機(Soft-kill UAV)」および「ハードキル型(Hard-kill)」関連システムのデモンストレーションを行っていた。

東京法人代表でありCEOを務める南宏和氏は、《風傳媒》のインタビューに応じ、自社製品の特徴と海外展開戦略について説明した。今回出展された主力製品は、同社のTレーダーERシリーズであり、センサー、ジャマー(妨害装置)、カメラなどのモジュールを組み合わせた「対ドローンシステム(反無人機系統)」として構成されている。

この「対ドローンシステム」は、現在台湾の国防部との協力のもと開発が進められており、Tron Futureはすでに東南アジア、ヨーロッパ、中東など約6カ国に向けて提案を行っている。南氏は、同社が国際的な実績を有し、一部のレーダーはすでに海外で運用されていると強調した。さらに、Tron Futureは最近東京に法人を設立しており、将来的には日本国内で一定規模の生産体制を構築し、「Made in Japan」の防衛製品の開発・展開を視野に入れているという。これにより、日本の防衛省や民間企業との連携をさらに拡大し、輸出にも力を入れていく方針だ。

製品の特性について南氏は、「信頼性の高い性能が最も重視されており、次に台湾製造ならではの高いコストパフォーマンスが強みである」と述べた。また、同社のユーザーインターフェース(UI)は直感的で操作しやすく、ゲームのような体験が可能で、誰でも短時間で使いこなせる設計となっているという。

レーダーシステムに加え、Tron Futureは衛星通信モジュール分野にも進出しており、SpaceXとの協業経験も有している。今後は車載型や空間認識関連の装備も開発し、適用領域およびソリューションの拡充を図る考えだ。

台湾企業トロン・フューチャー・テック(Tron Future)。(写真/黄信維撮影
サイバーセキュリティ企業TeamT5が脅威インテリジェンスシステムと防御ツールを開発。(写真/黄信維撮影)

台湾の無人機・サイバーセキュリティ企業、防衛市場で存在感示す

台湾のTron Future(創未來科技)に加え、今回のDSEI Japanには、台湾のサイバーセキュリティ企業「TeamT5(杜浦數位安全)」も出展し、東アジアの脅威に特化したインテリジェンスシステムおよび防御ツールを披露した。

同社の説明担当者が《風傳媒》の取材に応じたところによれば、TeamT5は2014年に台湾で設立されて以来、中国、北朝鮮を含む東アジア地域のハッカー組織を長期にわたり追跡しており、収集した情報を「脅威インテリジェンス(Threat Intelligence)」レポートとして整理。これを政府や企業の顧客に提供し、潜在的なリスクを予測するための判断材料としている。

レポート提供のほか、同社は「ThreatVision」と名付けられた独自のインテリジェンス・プラットフォームおよび各種防御ツールを開発し、ネットワーク防御や異常行動の監視に応用している。今回の防衛展示会への参加目的は、同社が持つ東アジア地域におけるサイバー攻撃の知見をより多くの日本のユーザーと共有し、防衛産業および政府機関のサイバー防衛能力の向上に寄与することだという。

TeamT5はすでに日本、マレーシア、シンガポール、ベトナム、タイなど複数の国に進出し、米国の顧客との提携も行っている。2015年からは日本市場への参入も進めており、現在では民間企業や公共機関への導入実績がある。将来的には株式上場と日本市場でのプレゼンス強化を目指し、アジア全域でのサイバーセキュリティ体制の構築を進めるとしている。

DSEI JAPANの会場には33か国・471の企業・団体が集結した。(写真/黄信維撮影)

S.T. Japan Inc. の四足歩行ロボット、自衛隊が導入

また、日本企業のS.T. Japan Inc.は、全天候型対応の四足歩行ロボットを出展した。現地の担当者が《風傳媒》に語ったところによれば、このロボットはIP67等級の防水性能に加え、優れた耐震性と耐衝撃性を備えており、過酷な環境下でも安定して稼働可能。万が一転倒した場合でも、自動で立ち上がり復元する機能を有している。

このロボットはすでに陸上自衛隊および航空自衛隊に導入されており、陸自には5台、空自には3台が配備され、さまざまな運用状況下での実地試験が行われている。装備化プロセスはすでに完了しているとのこと。もともとは米国製品だが、日本市場への導入にあたっては、S.T. Japan Inc.が無線周波数法などの日本の法規制に準拠するよう仕様を調整している。

このロボットは基本機能のほかに、ガスおよび放射線センサーを搭載可能であり、現在はそれらのセンサー情報をリアルタイムでクラウドに送信し、現場と後方指揮系統の双方で確認できる統合システムの開発も進められている。この用途は、人間が立ち入ることが困難、または危険性のある現場での先行偵察に適しており、任務遂行の安全性を高めることができる。

現地担当者によると、このロボットはバッテリー駆動で、連続稼働時間はおよそ3時間。今後はさらなるモジュール化を進め、液体の種類を識別するセンサーなどを追加する計画であり、災害対応や特殊任務への応用拡大が期待されている。

S.T. Japan Inc.が四足歩行ロボットを展示。(写真/黄信維撮影

旅行用途にとどまらず──GORE-TEX、戦闘服向けにも技術展開

米国の素材技術企業GORE(ゴア)は、防衛用ウェア専用の「GORE-TEX PYRAD®(ピラッド)」技術を展示した。この技術は、防水性・透湿性に加え、難燃性および断熱機能を備えており、火炎に接触した際に自動で火を消し、やけどのリスクを低減する仕組みとなっている。すでに海上自衛隊で採用実績があり、極限環境下における防護性能の高さが評価されている。

今後は、さらなる軽量化および柔軟性の向上を目指して開発が進められており、米国やNATO(北大西洋条約機構)加盟国など、国際的な軍事体制への導入も進められている。現地スタッフが《風傳媒》の取材に応じたところによれば、衣服本体が燃えていなくても、断熱層がなければ熱傷を引き起こす危険があるとし、PYRADの熱遮断構造がそのリスクを軽減する鍵となっているという。

この技術は現在、他の部隊への供給と現場での試験も進められており、応用範囲のさらなる拡大が見込まれている。

EATON、高耐久コネクタでアジア太平洋の防衛市場開拓へ

また、EATON(イートン)社は《風傳媒》に対し、防衛・航空宇宙分野向けに設計された高耐久コネクタを紹介した。IP67等級の防水性、耐塵性、耐衝撃性を備え、過酷な環境下でも安定的に作動可能な製品である。

この製品群は、もともとフランスのSOURIAU(スリオー)ブランドに属していたが、現在はEATONグループのReal Space事業部に統合され、軍用および航空宇宙関連のプラットフォームで広く利用されている。

将来的には、さらなる耐久性の向上と高速データ伝送能力の強化を開発の重点とし、厳しい環境下での使用に適した設計最適化が図られる予定である。今回展示された製品はすでに日本国内の法規に準拠して調整されており、EATONは本展示会を機にアジア太平洋地域における防衛市場の開拓を本格化させる考えだ。

【日時】2025年05月27日 18:45
【提供】風傳媒

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