台湾・台南市の黄偉哲市長は、台南市と仙台市の友好都市締結20周年を記念して仙台市を訪問し、現地で開催される記念イベントに参加した。多忙な日程の合間を縫い、6月30日には宮城県の村井嘉浩知事および県議会の高橋伸二議長をそれぞれ表敬訪問。台南産の高品質なパイナップルと、宮城県章があしらわれた蘭の鉢植えを手土産として贈呈し、両氏に台南訪問を熱烈に招待した。
仙台市は宮城県最大の都市であり、同市との緊密な関係が宮城県全体との交流を活性化させてきた。黄市長は2023年にも、台南〜仙台間のチャーター便のプロモーションのため訪日し、村井知事と会談を行っている。また、今年4月には高橋議長が台南市議会を訪れ、青少年の教育交流について協議。2023年2月の台湾ランタンフェスティバルや、同年7月の台日交流サミットにも宮城県の議員団が参加するなど、官民を挙げた交流が続いている。
黄市長は今回の訪問で、これまでの協力への謝意を伝えるとともに、観光・文化・教育の分野における両地域の更なる発展を願った。また、地震やパンデミックという困難な時期においても、台南と宮城が互いに支え合ってきたことへの感謝を表明。7月16日からは高雄〜仙台間の定期直行便が就航予定であり、物理的な距離が縮まることで交流のさらなる拡大が期待されている。
黄市長は、宮城県と台南市の学生同士の交流をさらに進めるよう提案し、日本の学生に向けて台南訪問を呼びかけた。八田與一技師が建設した烏山頭ダム、昭和天皇が皇太子時代に宿泊した旧台南知事官邸、浜野彌四郎技師が設計した山上ダム水道博物館などの歴史的遺産を例に挙げ、台日間の歴史的なつながりを深く学べる機会を強調した。さらに、11月に開催予定の「大台南旅展」への宮城県の参加も提案し、市民への観光PRの場として活用することを期待した。
村井嘉浩知事は「東日本大震災から14年以上が経過した今も、台湾からの支援に深く感謝している」と述べ、昨年1年間で約37万人の台湾人観光客が宮城県を訪れたと紹介。「高雄〜仙台」直行便の定期運航開始により、今後の交流活性化にも期待を寄せた。教育分野では、台南の家齊高校と宮城県の学校との交流がすでに始まっており、さらに多くの学校が連携できるよう支援していきたいと語った。また、黄市長から贈られたパイナップルが孫に大好評だったエピソードも披露し、和やかな雰囲気となった。
高橋伸二議長も「台南との観光・教育交流は極めて活発で、4月の台南訪問でも具体的な教育協力を話し合った」と述べ、今後も両地域の関係強化に積極的に取り組む姿勢を示した。なお、当日は宮城県議会日台友好議員連盟の議員らも同席し、会談の場に華を添えた。
宮城県は東北地方の中心に位置し、仙台市は東北随一の都市かつ交通の要所。黄市長は、台南の名産であるパイナップル、マンゴー、ドラゴンフルーツをはじめとする多彩な果物や郷土料理の魅力を紹介し、再びの台南訪問を知事・議長に呼びかけた。
今後も台南市と宮城県は、友好都市として、行政・教育・観光の各分野で交流を深め、次世代へとその絆を継承していく意向だ。
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