澳門海關(マカオ税関)は7月1日、違法な運搬活動(いわゆる運び屋行為)の趨勢に関する情報収集・分析を進めるとともに、取り締まり強化して臨む中、同日夜のパトロール中にマカオ半島北部に所在するビル内で運び屋向け商品供給拠点1ヶ所を発見し、即時に摘発を実施したと発表。
マカオ半島北部については、中国本土との主要な陸路の玄関口・關閘イミグレーション(通称:ボーダーゲート)に近い位置にあることから、以前から両地の間を往来する運び屋相手のビジネスを行う店舗や倉庫などが存在すると指摘されており、当局が高頻度でパトロールや摘発を行っている。
税関によれば、摘発対象となったテナント内には現場責任者の女が1人がおり、中から冷凍鶏もみじ(鶏の足先の部分)約840キログラム、市価およそ1.8万パタカ(日本円換算:約32万円)相当を発見したとのこと。
密輸品供給拠点に対する摘発の様子=2025年7月1日(写真:澳門海關) 現場責任者の女(62)はマカオ人で、女は当該貨物の出所を証明する書類を提示できなかったという。税関では、この女が運び屋を組織して中国本土へハンドキャリー方式で密輸出することにより正当な貿易活動の規制逃れを図ったとみて、対外貿易法の関連規定に基づき行政違反手続きを開始するとともに、食材が室温下で放置されていたことから、保管状況(温度管理)が食品安全法に触れる可能性があるとして市政署に通報。食材については廃棄処分済みとした。同時に、営業許可証なしで開設・運営がなされていたことも発覚したため、財政局にがフォローアップを進めるとのこと。
アフターコロナでマカオと外地の往来が正常化した一昨年(2023年)の年初以来、マカオでは運び屋が絡む密輸事案がの摘発が頻発。昨年から直近にかけてマカオから中国本土への密輸出で摘発されたケースについては、冷凍肉類や活ロブスターといった食材と中古スマホやパソコン用のCPUといった電子製品が目立っている。冷凍鶏もみじに関する摘発事案は約2週間ぶり。
税関では、市民に対して報酬を目当てに運び屋行為へ従事しないよう繰り返し呼びかけを行っており、今後も取り締まり戦略を随時調整しながら全力を挙げて運び屋行為の撲滅に取り組む考えを示した。
密輸品供給拠点に対する摘発の様子=2025年7月1日(写真:澳門海關)