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2011年3月の東京電力福島第一原子力発電所の事故の後も、福島県双葉郡にたったひとつ残った医療機関として5年間地域医療に努めてきた高野病院の高野英男院長が、先月30日夜に発生した火災に巻き込まれて亡くなった。
81歳だった。
高野病院は、福島第一原発から南へ22キロの広野町にある民間病院で、事故発生後は、寝たきりで動けない重症患者を中心に、双葉郡で唯一の医療機関として地域医療を続けてきた。
多くの医療スタッフが、自宅が避難指示区域内にあるため、避難したり、通勤できなくなったりしたなか、81歳の高野院長は、たった一人の常勤医師としてとどまって診療を続け、原発作業員や除染作業員の病気やケガなどの救急対応に追われる日々を過ごした。
ところが、先月30日夜に病院で発生した火事で、男性一人の遺体が見つかり、司法解剖やDNA鑑定の結果、警察は3日、遺体を高野院長と特定した。
病院はこの発見を受けて同日、「原発事故以降、身を削るように地域医療の火を消してはいけないと、日々奮闘してまいりました。院長が遺した『どんなときでも、自分のできることを粛々と行う』という言葉を忘れずに、これからも地域の医療を守っていく」とコメントを発表した。
高野先生、安らかにお眠りください。
ありがとうございました。
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