
タイで2025年3月から行方不明になっていたデンマーク人男性(41歳)が、実は3月下旬にバンコクの警察署内の留置場で死亡していたことが明らかになりました。死亡後も身元は2ヶ月以上にわたって確認されず、「身元不明の外国人」として扱われていたということです。2025年6月6日のバンコクポストが伝えています。
男性は2月初旬にタイに入国し、南部ラノーン県に滞在していました。しかし精神的に不安定な状態で、3月21日には宿泊していたゲストハウスでトラブルを起こし、観光警察の支援を受けてバンコク行きのバスに乗車しました。その後、家族との連絡が取れなくなり、行方不明となっていました。
3月26日には、バンコク・クロントイ地区で「交通の中で錯乱状態の外国人が騒いでいる」との通報があり、警察が出動。プラカノン警察署に保護された男性は、身分証を持っておらず、精神的にも混乱していたため留置場に収容されました。
その夜、男性は留置場で眠っている間に呼吸が止まり、警察が蘇生を試みましたが死亡が確認されました。遺体はチュラロンコン大学の医学部に搬送され、「身元不明の外国人」として保管されていたとのことです。
行方不明の情報はデンマーク当局により国際的に共有されていたにもかかわらず、関係機関の間で情報が連携されず、家族は5月下旬になって私的に調査員を雇い、外国人ボランティアやタイのNGOの協力を得てようやく本人の死亡を確認しました。
家族は、これまでに警察や大使館、メディアなどあらゆる手段で情報を求めていたにもかかわらず、確認までに2ヶ月以上を要したことに強い不満と失望を表明しています。
この出来事は、外国人保護や情報共有の体制について、今後の改善が求められる事例となりました。