
中国の電気自動車メーカーNETAのタイ法人が事業を一時停止し、タイ政府からの多額の補助金を受け取った後の動きとして、物品税局や現地ディーラーから批判の声が上がっています。2025年6月19日にタイ政府メディアNNTが伝えています。
NETA Auto(Thailand)Co., Ltd.は現在、深刻な資金難と多額の債務を抱えており、2025年1月から5月の販売台数は1,256台と、前年同期比で43%の大幅な減少となっています。この状況を受けて、ディーラーや消費者の間では、同社がタイ市場から撤退するのではないかとの懸念が広がっています。
同社幹部は以前、タイ法人の存続は中国本社の状況に大きく左右されるとの見解を示していました。親会社であるHozon New Energy Automobile Co., Ltd.は現在、中国浙江省嘉興市の中級人民法院の監督下で、債務整理を目的とした政府主導の企業再編手続きに入っています。
当初、NETA Thailandは「中国での再編はタイ事業に影響しない」と説明していましたが、6月13日、全国18のディーラーが物品税局に出向き、誤解を招く説明を受けたとして正式に苦情を申し立てました。
あるディーラー企業の幹部によると、参加ディーラーが被った損失の総額は2億バーツ以上にのぼるとされ、NETAは「中国側の承認待ち」を理由に支払いを何度も遅延していたといいます。ディーラー側は補助金の支給停止を政府に要請しており、「支払いや補償に充てられるべき資金が中国本社に送金される可能性がある」と懸念を表明しています。
物品税局の副局長は、補助金の追加支給を保留していることを認めたうえで、NETAが生産委託しているBangchan General Assembly Co., Ltd.の工場がすでに生産を停止しており、EV 3.0補助金制度の要件を満たしていないと説明しました。
NETA Thailandの関係者によれば、同社は2024年末までに4億バーツの補助金をすでに受給済みであり、今後も契約に基づき約2万台の車両を生産する義務がありますが、その履行は極めて不透明な状況です。