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秋が深まると、各地で人里に出没するクマが目撃されるようになるが、隣の中国では事はもっと深刻。
クマの手や胆のうが漢方薬や珍味として高い値段で取引されていることから、違法に捕獲されたり、殺されたりしたクマの密輸が国際的な問題となっている。
ミャンマーでは、闇組織が密売しようとしたツキノワグマの兄弟を寺院の僧侶が救い出し、中国行きを阻止。
しかし、このクマは舌が肥大化する原因不明の病気に犯されていたという。
スコットランド・エジンバラ大学の24日の発表によると、このツキノワグマは2016年にミャンマーの僧侶が密売組織から奪還した兄弟二頭のうちの一頭で、保護した寺院では「ニャン・ヒョー」と名付けて可愛がっていた。
しかし、ニャン・ヒョーは救出直後から舌が膨らみ始め、今年6月には、舌が口の中におさまらず、重さ3キロまで肥大化。
自分で頭部を支えることもできずに、餌も食べられなくなって、常にケージの壁に頭を寄りかからせている状態になった。
地元の獣医師からの支援要請を受けて、エジンバラ大学獣医学部とベトナムのクマ保護センターの看護師らの国際医療団がミャンマーを訪れ、4時間以上に及ぶ切除手術を実施。
無事成功し、現在、ニャン・ヒョーは順調に回復しているという。
取り除いた舌の病理検査を行なった結果、フィラリアが寄生する象皮病が原因である可能性が高くなった。
象皮病はヒトが感染する病気で、2015年時点では、世界で3800万人が感染したという報告がある。
日本でも江戸時代には全国的にはびこっており、葛飾北斎の浮世絵にも描かれているほか、西郷隆盛も晩年に感染し、西南戦争で首のない死体の身元が特定できたのは、巨大に腫れ上がった陰嚢のおかげだったといわれる。
ミャンマーの人の間では比較的一般的な病気だというが、クマの感染は初めてで、獣医師チームらも驚いている。
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