データによると、2014年以来、中国の農業転移人口(農業を辞めて都市部に出た人)1億5000万人が、安定して秩序に基づき、都市で生活するようになり、中国全土の戸籍人口の都市化率が2014年の35.9%から2023年には48.3%にまで上昇した。
新型都市化建設が安定して実施され、農業転移人口の市民化が着実に推し進められ、中国式現代化に強力な原動力を提供している。
目に見えて高まる都市化の質
都市化は現代化において必ず通らなければならない道となる。中国式現代化は巨大な人口規模を抱えた中で実現する現代化となっている。農業転移人口の市民化を秩序に基づいて推し進めることは、新型都市化戦略実施における重要な任務であるだけでなく、都市化の質の高さにも関係してくることになる。
経済と社会の発展に伴い、農業転移人口は都市部で働き先を探すだけでなく、そこで家族と一緒に暮らすことを願うようになるなど、そのニーズも変化している。そして、安定した仕事があり、子供の教育や住宅、社会保険といった基本的な公共サービスの保障があることを望むようになっている。
中国国家統計局が最近発表した2023年出稼ぎ労働者モニタリング調査報告によると、調査に回答した出稼ぎ労働者のうち、47.3%が「自分は住んでいる都市の『地元の人間』」と答え、その割合は前年比で1.6ポイント上昇した。また、現地の生活について、86.3%が「しっかりと」、または「比較的」溶け込んでいると答え、その割合は前年比で1.1ポイント上昇した。コミュニティーが企画する活動について、38.2%が「参加したことがある」と答え、その割合は前年比で3.3ポイント上昇した。
継続的に実施されている関連改革の深化と関連政策の整備
戸籍制度改革が歴史的進展を遂げている。現在、常住人口が300万人以下の都市は基本的に戸籍取得制限を廃止し、常住人口が300万人以上の都市も戸籍取得条件を秩序に基づいて緩和しているため、より多くの農業転移人口が家族と一緒に都市部に移り住み、新しい環境に溶け込み、新しい生活を始めている。
市民化関連の政策が継続的に整備されている。中央財政は農業転移人口市民化奨励資金を設立し、これまでに累計で2800億元(約5兆6000億円)を計上してきた。公共サービスの供給を見ると、義務教育の段階で、公立学校、または政府が一定の人数分の学位を購入している学校に通っている出稼ぎ労働者と一緒に移り住んだ子供の割合は96.7%に達し、公共衛生や文化・スポーツといった分野の基本公共サービスのオールカバーを実現している。
今後5年、中国の戸籍制度改革はどのように一層全面的に深化されるのだろうか。「人間本位の新型都市化戦略5年行動計画の実施深化」は、5年間をめどに、常住人口都市化率を安定して70%近くにまで引き上げ、農業転移人口の都市部の戸籍取得をさらに円滑化し、常住地が基本公共サービスを提供する制度をさらに整備するといった具体的な計画を打ち出している。
新型都市化の巨大な内需のポテンシャルが今後、さらに引き出されることになりそうだ。 都市化の秩序に基づいた推進は、中国経済の発展や内需の拡大の主なポテンシャルの源となっている。消費という観点から見ると、農民が都市部に移転して、市民になり、給料をもらって収入が増えるにつれ、都市部の基本公共サービスを利用できるようになると、消費能力が高くなり、消費の構造が高度化し、消費のニーズが引き出されるようになる。
北京大学や中国社会科学院といった機関の調査によると、農民が都市部に移転して、常住人口になると、1人当たりの平均消費が30%増加し、都市部の戸籍を取得すると、それがさらに30%増加するとしている。
投資という観点から見ると、農民が都市部に定住すると、住宅や市政道路といったインフラ投資の需要が高まるほか、教育や衛生といった公共参加施設への投資もかなり増えることになる。
研究では、都市化率が1ポイント上昇するたびに、投資の需要を1兆元(約20兆円)以上押し上げると試算されている。また、都市再開発も巨大な投資の需要をもたらすとしている。(提供/人民網日本語版・編集/KN)