今年(2025年)に入って以降、マカオ政府が新交通システム「マカオLRT」の新路線計画を相次いで明らかにしている。
4月30日にマカオ立法会で行われた2025年施政方針(運輸・工務領域)政策討論において、譚偉文マカオ政府運輸工務長官がマカオ半島西部を南北に結ぶ(現在建設工事が進む東線の青茂駅から南へ延伸し、筷子基や内港エリアを経て、マカオ半島南東に位置する既存のタイパ線の媽閣駅へ至る)「西線」、港珠澳大橋マカオ側イミグレーションからマカオ半島北東沖の新興埋立地”東区”を経由して外港フェリーターミナル、南灣・西灣エリアを経てタイパ線の媽閣駅へ至る路線の2路線について検討を進めていることを挙げた。
マカオLRTのイメージ(資料)=2024年10月、コタイ東駅にて本紙撮影 なお、東線はタイパ線のタイパフェリーターミナル駅を起点とすることから、西線の整備により、環状交通ネットワークが実現することになる。
6月21日、マカオ特別行政区の岑浩輝行政長官が戴建業経済財政長官、譚偉文運輸工務長官らとともに、マカオ半島北西部の沙梨頭、青洲、筷子基エリア一帯を視察に訪れ、市民運動公園の建設予定地となる旧ドッグレース場で会見を行った際、マカオLRTの新路線計画について言及した。
会見に臨む(左から)戴建業経済財政長官、岑浩輝行政長官、譚偉文運輸工務長官=2025年6月21日(写真:GCS) 岑氏は、市民運動公園周辺の交通アクセスについてコメントした際、東線の青茂駅までの延伸条件は整っているとした上、目下、政府として青茂駅から先のルートとして、(上述の西線にあたる)筷子基方面と(支線として)市民運動公園方面への2つの延伸計画について検討を進めており、これらの路線の整備により、人口が密集する当該エリアの交通需要を満たせるとの考えを示した。市民運動公園方面への支線の計画が明らかになったのは今回が初めてのこと。この支線はマカオ半島の内側に向かって延びることになり、どこへ向かうのかが今後の関心事となりそうだ。
現在、マカオLRTはタイパ線、石排灣線、横琴線の3路線体制となっている。タイパ線(13駅、約12.5キロ)はタイパフェリーターミナル駅と媽閣駅の間を結び、沿線には海と空の玄関口(タイパフェリーターミナルとマカオ国際空港)のほか、大型カジノIR(統合型リゾート)が密集するコタイ地区、著名観光地のタイパヴィレッジ、高層マンションが建ち並ぶ新興住宅街が存在。石排灣線(2駅、約1.6キロ)はタイパ線の協和醫院駅と近年開発が進んだ人口密集地のひとつ、コロアン島北部の石排灣駅を結ぶ。横琴線(2駅、約2.2キロ)はタイパ線の蓮花駅と「横琴広東マカオ深化協力区」との陸路の玄関口となる横琴口岸(イミグレーション)の直下に位置する横琴駅を結ぶ。
マカオLRTの路線ネットワーク(図版:澳門輕軌股份有限公司)