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大学は関西3部校出身社会人で人生初の全日本「このペアでもう1度戻ってきたい」<全日本卓球2025>

<天皇杯・皇后杯 2025年全日本卓球選手権大会(一般・ジュニアの部) 日程:2024年1月21~26日 場所:東京体育館(東京)>

日本一の卓球選手を決める大会である全日本卓球選手権は、多くの卓球選手にとって憧れ舞台である。

しかし、出場するためには各都道府県で開催される予選を勝ち抜く必要があり、県によっては代表枠がわずか“1”のところもある。

加えて、全日本選手権には年齢制限がないため、毎日卓球に打ち込む時間の取れる高校生、大学生の選手も数多く参加する。

そんな環境の中で、練習時間の取りづらい社会人選手が代表枠を勝ち取るのがいかに難しいか、説明は不要だろう。

まして、これまで一度も予選を通過したことのない選手にとっては。

写真:榎本憲駿(FORTUNA)/辻賢人(山卓)/撮影:ラリーズ編集部
写真:榎本憲駿(FORTUNA)/辻賢人(山卓)/撮影:ラリーズ編集部

大学は関西3部校

男子ダブルス1回戦に登場した榎本憲駿(FORTUNA)/辻賢人(山卓)ペアは、代表枠が“1”の滋賀県予選を突破して、全日本出場を決めてきた。しかも、二人とも全日本選手権はシングルス、ジュニアの部含めて初出場だという。

写真:榎本憲駿(FORTUNA)/辻賢人(山卓)/撮影:ラリーズ編集部
写真:榎本憲駿(FORTUNA・写真左)/辻賢人(山卓)/撮影:ラリーズ編集部

榎本:「全日本は初めてだったんですけど、練習の時点でもう圧倒されました。周り見たらすごい有名な選手ばっかりで、“僕ら場違いだよな?”ってめちゃくちゃ思っていました(笑)」

辻:「僕ら二人ともインターハイには出たことがあったんですが、全日本はインターハイよりも代表枠数が少なくて、学生からプロ選手まで本当に強い人たちが集まってきているので、インターハイとは雰囲気はまったく違いました」

二人は高校まで滋賀県でプレーし、卒業後は榎本は滋賀大学、辻は追手門学院大学に進学。ともに関西学生リーグ3部の学校であり、決して卓球強豪校とは言えないなかでも、地道に腕を磨いてきた。

そんな二人が出会ったのは、小学生時代にまで遡る。

榎本:「辻とは、小学校1年生のときから通っていたスポーツ少年団のときからの知り合いです。学校は別だったんですけど、当時から何度も試合していたので自然とお互いのことを認知するようになっていました」

中学、高校、大学も別な二人だったが、大学4年になったタイミングで「せっかくだし、ダブルス組んでみよう」という話になり、ペアを結成することとなった。

そして、結成初年度に出場した滋賀県予選でいきなりベスト4入賞。それなりに手ごたえを感じていたものの、代表枠を勝ち取る難しさは感じていたという。

写真:榎本憲駿(FORTUNA)/辻賢人(山卓)/撮影:ラリーズ編集部
写真:榎本憲駿(FORTUNA・写真左)/辻賢人(山卓)/撮影:ラリーズ編集部

辻:「滋賀県は強い高校や大学も少ないので、他の県に比べたら勝ちやすいんですけど、それでも準決勝、決勝になるとかなりレベルは上がりますね」

事実、今年の男子シングルス予選を通過した林中和希(京都府保険医協会)は、滝川第二高校から京都産業大学に進学し、過去に何度も全日本に出場した経験もあるトッププレーヤーだ。そして、榎本/辻ペアは今年の予選の代表決定戦で、そんな林中のペアと対戦した。

辻:「林中さんは滋賀県では別格の存在で、10回試合して1回勝てるかどうかのレベルなんです。そのときの試合も常に負けてる展開で、最終ゲームも4-8でリードされている状況だったんですけど、とにかく粘って粘ってボールを繋いで、奇跡的に勝てた試合でした」

「もう1度この舞台に戻ってきて、1勝したい」

激戦を制して念願の全日本出場を掴み取った二人だが、ともに社会人ということもあり、普段から練習時間や質の確保には苦労しているという。

写真:榎本憲駿(FORTUNA)/辻賢人(山卓)/撮影:ラリーズ編集部
写真:榎本憲駿(FORTUNA・写真中央)/辻賢人(山卓)/撮影:ラリーズ編集部

榎本:「僕は中学校で社会科の教員をしていまして、3年生の担任も持っているのでなかなか練習時間が取れずで…」

辻:「僕は彼よりは練習時間作りやすいので、週3ぐらいはやっています。けど、社会人の知り合いは榎本含めてみんな忙しいので、中学生と打つことが多いですね」

しかし、そんな状況だからこそ、練習は常に工夫している。

榎本:「社会人になってからはレシーブに絞って練習していますね。フットワークもやるんですけど、学生時代よりも息切れが早いので(笑)、今はレシーブからの4球目、6球目の展開に重点的に練習しています」

辻:「自分はフォアで弾くプレースタイルで、動けなくなったらもう終わりなので、とにかくフットワークを多球でやっています。なので、榎本がレシーブを頑張ってくれて、自分がフォアで仕留めるっていう形で、けっこう役割分担はできているかもしれないですね」

写真:山本駿介/山岸馨(トヨタ自動車)/撮影:ラリーズ編集部
写真:山本駿介/山岸馨(トヨタ自動車)/撮影:ラリーズ編集部

そして、遂に臨んだ念願の全日本。初戦の相手は、実業団・トヨタ自動車の山本駿介/山岸馨ペアとなった。

試合は、要所要所で辻がフォアスマッシュを決めて見せ場を作るも、榎本/辻ペアのサービスを山本/山岸ペアが2球目からチキータで打ち込む展開になり、なかなかラリーに持ちこむことができず、ゲームカウント0-3で榎本/辻ペアは敗北した。

写真:榎本憲駿(FORTUNA)/辻賢人(山卓)/撮影:ラリーズ編集部
写真:榎本憲駿(FORTUNA・写真奥)/辻賢人(山卓)/撮影:ラリーズ編集部

榎本:「やっぱり、レベルの差をめちゃくちゃ感じました。実力もそうですがとにかく練習不足だなと感じたので、“もっと頑張って練習して勝ちたい!”って思いは強くなりましたね」

辻:「試合前は初めての全日本ということもあって、出場するだけで満足していた部分はあったんですけど、やっぱり試合に負けると悔しい気持ちが出てきて、“このペアでもう1度この舞台に戻ってきて、1勝したい。”って思いました」

社会人になって掴んだ夢の舞台。しかし、二人の夢はまだ終わらない。

榎本憲駿(FORTUNA)/辻賢人(山卓)
写真:榎本憲駿(FORTUNA・写真右)/辻賢人(山卓)/撮影:ラリーズ編集部

全日本卓球選手権 男子ダブルス1回戦

榎本憲駿(FORTUNA)/辻賢人(山卓)0-3 山本駿介/山岸馨(トヨタ自動車)〇
7-11/5-11/3-11

取材・文:和田遥樹(ラリーズ編集部)

【日時】2025年01月31日 11:09
【提供】Rallys

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