
日本政府は、反撃能力を高めるため、長距離ミサイルを配備する検討に入った。
地元住民の理解を得る方針
この長距離ミサイルは射程が1000kmとされ、中国の沿岸部や北朝鮮も射程圏内に入り、今後、九州にある2つの自衛隊の駐屯地に配備されることが検討されているという。
日本政府は、このミサイルは戦略的に重要な沖縄諸島の防衛を強化し、日本が攻撃を受けた場合の「反撃能力」を高めるためだと述べ、2025年末の配備を目指している。(2026年配備予定との報道も)
まだ正確な配備先は決まっていない。ミサイルが配備された場所は、敵の攻撃対象になることから、住民の反発も予想されるため、日本政府は地元での説明会を行い、理解を求める方針だ。
12式地対艦誘導弾の改良型
現在、陸上自衛隊は大分県・由布市の湯布院駐屯地と、熊本市の健軍駐屯地に、地対艦ミサイル連隊を配置しており、ここに長距離ミサイルが配備される可能性がある。
一方、沖縄諸島への長距離ミサイルの配備は、中国との緊張を過度に高める可能性があることから見送られる方針だという。ただすでに沖縄諸島には、短距離ミサイルが配備されている。
新しい長距離ミサイルは国産で、陸上自衛隊の12式地対艦誘導弾の改良型だという。
ウクライナも国産の長距離ミサイルを開発
長距離ミサイルと言えば、ウクライナも国産の長距離ミサイルを開発し、先日実戦に投入したと主張した。
そのミサイルとは、もともと対艦ミサイルとして開発された「ネプチューン」の改良型とみられ、名前は「ロング(ドウヒー)・ネプチューン」という。
ウクライナのゼレンスキー大統領は3月15日、「ロング・ネプチューンが試験され、実戦での使用に成功しました。ウクライナの新しいミサイルで、精密打撃を加えます」と明らかにした。
もっともこの長距離ミサイルがどこで、実戦使用されたのかは、明らかになっていない。ただし14日にはロシア南部クラスノダール地方の町、トゥアプセにある大手石油精製所が何らかの攻撃を受け、爆発し炎上し続けたと言われている。
「ロング・ネプトゥーン」の射程は1000km。イギリスの「ストーム・シャドウ」の2倍の距離を飛行し、ウクライナ国境から約842km離れたロシアの首都・モスクワを攻撃することも可能になる。
しかも国産のため、外国の支援に頼ることもなく製造でき、攻撃目標に制限をかけられることもない。
アメリカ政府は昨年11月まで、ロシア領内に向けて「Atacms」で攻撃することを禁止しており、それまでウクライナ軍は主にドローンでロシアの工場や基地を攻撃し続けてきた。(了)