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台湾出身のイラストレーター兼グラフィックデザイナーDoryさんは、現在東京で1年間のワーキングホリデー生活を送っており、その旅もまもなく終わりを迎えようとしています。この旅は、気まぐれな冒険ではなく、何年もかけて温めてきた夢をようやく実現したものでした。彼女は大学時代に日本への交換留学を目指しましたが、新型コロナウイルスのパンデミックにより、その計画は中断されてしまいました。

しかし、その夢を諦めることなく、数年後、Doryさんはワーキングホリデービザを取得し、日本での生活を再び目指すことにします。Instagram（@yu_uyillustrator）では、旅行や日常、ファッションをテーマにしたイラストやデザインを投稿し、フォロワー数は7.7万人に達しています。真摯な視点で日々の観察を記録し、ブランドのデザインやイラストの依頼も手がけています。

この1年間、Doryさんは慣れ親しんだ台湾での仕事を一時的に離れ、「自由だけれど目的のある」生活と休暇を日本で送ってきました。学生時代に通っていた台湾芸術大学では2度目の申請でようやく東京の美術大学に交換留学が決まりましたが、渡航直前にパンデミックが起こり、夢は一度途絶えます。大学卒業後はデザイン業界で3年半働きながらも、その未完の夢を心の内に留め続けていたと言います。

「この1年で本当に日本を知りたいと思いました。」と語るDoryさん。その言葉には飾り気もなく、経験に裏打ちされた落ち着きが感じられます。彼女が来日した目的は「働く」ことではなく、「暮らす」こと。だからこそ、アルバイトではなく旅と生活に重きを置き、多くの時間を旅や観光、地元の人々との交流に費やしました。「最初から労働に全力投球していたら、それは『ホリデー』とは呼べないですからね」と笑顔で付け加えました。

この期間に出会った日本人についても、「日本人は排他的だとよく言われるけれど、実際にはとても親切で、思っていたよりもずっとオープンでした。私が本気で日本を知りたいと思っていることが伝わったのかもしれません」と話します。Instagramでは、繊細でやさしいタッチのイラストと、清潔感のあるビジュアルで、彼女自身の感性を発信し続けています。

Doryさんは、フリーランスとしてブランドのロゴデザイン、イラストの制作、旅行やファッション関連の商業案件などを手がけており、「創作は単なる絵を描くことではなく、文化や感覚を翻訳する作業でもある」と語ります。

日本での仕事を通じて感じた文化の違いについて、「日本のクライアントはとにかく細かくて、段階を踏むことを大事にします。撮影では他ブランドのロゴが映り込まないようにモザイクを入れるように言われたり、提案も段階を踏んで進めないといけない」と言いながらも、「でも、それが文化の一部でもあるし、来日前にたくさん情報収集して心の準備ができていたから、特に困ったことはありませんでした」と穏やかに話してくれました。

この1年を振り返り、「私は自分が思っていた以上に行動力のある人間だと気づきました。ほぼ毎月東京を離れて旅行して、自分自身をより深く知ることができました」と語ります。さまざまな地域を訪れ、土地ごとの文化や人々の暮らしぶりに触れた経験は、彼女の創作活動にも大きな影響を与えているそうです。

「日本では本当に多くのイベントに参加しました。会場の設営や入場の流れ、デザインの裏にある意図など、細かい部分にまで配慮されていて、学ぶことが多かった。もし将来チャンスがあれば、台湾でも同じようなイベントを開催してみたい」と夢を語ります。

また、「私のInstagramは私そのもの。旅行も、食べることも、ファッションも、美しいものが大好きで、それがそのまま投稿に表れていると思います」と自己分析も。生活費の高い日本で常に買い物ができるわけではないものの、旅先で偶然出会ったアイテムを撮影して記録する、そんな日常から自然に生まれた投稿が多いそうです。

「私は流行やバズを狙って投稿するのではなく、本当に生活の中で起きたことを切り取って伝えたい。誰かが偶然私の投稿を見て、少しでも癒されたり、元気をもらえたら、それが一番嬉しいです。」

この1年で、自分の行動力や、日本各地の文化の奥深さに改めて気づいたDoryさん。これらの体験を台湾に持ち帰り、展示やイベントなどの形で共有したいと語ります。

「私にとってこの日本での1年は、まるで四つ葉のクローバーのようなものでした。存在することは知っていても、なかなか見つからない。でも、だからこそ見つけたときの喜びが大きい。この1年は、そんな“小さな幸せ”を探す旅だったと思います。」

「私自身が、誰かの生活にちょっとした彩りを添えられる“クローバー”のような存在になれたら嬉しいです」と優しく語ったDoryさん。大きな成功ではなくても、丁寧に、自分らしく、心に残る時間を過ごした1年だった──そのこと自体が、何よりも価値のある成果だったのかもしれません。

【日時】2025年05月31日 12:34
【提供】風傳媒

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