
タイ北部チェンマイの旧市街、ラチャダムヌーン通り沿いにある寺院「ワット・サンパオ」で、門前に設置された獅子像の姿が注目を集めています。新たに設けられた屋根の構造により、獅子像の頭部だけが屋根から突き出し、胴体部分が隠れてしまっている状態となっており、訪れた市民や観光客の間で「威厳が損なわれている」といった声が上がっています。各報道が伝えています。
寺院の獅子像は、本来「強さ」「勇気」「守護」の象徴とされ、特にランナー様式の寺院では悪霊や災厄から仏教施設を守る存在として大切にされています。そのため、「首だけが見える獅子像」という現在の姿に対し、SNSでは「見た目がおかしい」「観光地の中心にある寺院として不適切では」といった意見も見られました。
一方で、寺院側の高僧は取材には応じなかったものの、事情を次のように説明しています。これまではイーペン祭や宗教行事のたびに、一時的な装飾アーチを設けてきましたが、設営には毎回1万バーツ近い費用がかかり、多くの僧侶や小僧の協力が必要でした。しかし、近年は人手不足が深刻となり、労力と予算の面から、恒久的な屋根構造に切り替えることにしたとのことです。
また、獅子像の頭部が屋根を突き抜けるデザインについても、「損傷などの問題はなく、設計上の工夫である」とし、「地域住民の見解も大切にしつつ、寺としての事情にも理解を示してほしい」と語っています。
このような改修は、寺院運営の現実的な事情と伝統的価値観の間で、どのようなバランスを取るべきかを問うものとなっています。観光都市チェンマイの中心部にある寺院だけに、今後の対応が注目されます。