🌎台湾副総統に対する「偽装事故」計画、チェコで発覚中国の越境攻撃に米欧が強く反発

蕭美琴氏は2024年3月にチェコを訪問しており、これは同年1月の総統選で頼清徳氏と共に勝利を収めた後、初の海外訪問であった。当時、一部報道によれば、中国の外交官が警察に護送される蕭氏の車列を追跡し、信号無視をしたとされている。最近になって、プラハの情報当局者がチェコ公共ラジオ「Irozhlas」に明かしたところによると、この一連の出来事は、中国の在プラハ大使館に所属する外交官および情報員が仕組んだ挑発行為の一環であり、その中には、事故を装った偽の交通事故を引き起こす計画も含まれていたという。

チェコ軍事情報局のペトル・バルトフスキー局長は、チェコ公共ラジオ「Irozhlas」に対し、当時警察に制止された運転手は蕭美琴氏を尾行していただけだったと述べた。しかし同局は、中国大使館が主導した「蕭美琴氏に対する示威的な対抗行動」の計画も確認しているという。局の報道官ヤン・ペイシェク氏は、「この計画には、中国の民間団体が特定の状況を作り出し、要人に対して示威的な対抗行動を行おうとする試みが含まれていた」と述べ、準備段階を超えるには至らなかったものの、蕭氏の安全を脅かす水準に達していたと指摘した。チェコのメディアは、これは蕭氏の乗る車両との衝突事故を装う企図だったと報じている。

ペイシェク報道官はさらに、「これら明白にウィーン外交関係条約に違反する行為は、中国の在プラハ大使館に勤務する外交資格を持つ職員らによって行われた」と具体的に非難した。これに対し、中国外交部の報道官は、中国の外交官は「常に駐在国の法令を順守している」と主張し、チェコ政府が蕭美琴氏の訪問を許可したことについて「中国の内政に対する乱暴な干渉」だと批判。さらに蕭氏を「頑固な台湾独立分裂分子」と呼んだ。英紙『ガーディアン』は、中国政府がこうした人物に対し死刑を科す可能性を示唆してきたと指摘している。中国政府はまた、関係当局に対し「台湾独立」勢力に扇動・利用されることなく、事態を煽ったり、デマを流したりして二国間関係を損なうような行動を取らないよう強く求めた。

蕭美琴氏は28日、訪問中の安全確保に尽力したチェコ政府に感謝の意を表した。SNSへの投稿で、「中国共産党の違法行為は、国際社会で台湾の声を届けようとする私の決意をくじくことはない」と述べた。

これに先立ち、台湾の大陸委員会は27日、中国政府の行為を強く非難し、「蕭副総統および同行者の人身の安全を著しく脅かすものだ」と指摘。さらに、中国側に対し、説明と公式な謝罪を求めた。

また、超党派の国際議員ネットワーク「対中政策に関する列国議会連盟（IPAC）」も声明を発表し、中国が「示威的な物理的攻撃」を企図していたことに衝撃を受けたと表明。たとえ未遂に終わったとしても、今回の計画は国際的な外交・安全保障の一線を越えたものであり、国家によるテロ行為に近いと非難した。この声明には、世界30カ国以上の60人を超える国会議員や政治関係者が署名している。

米下院外交委員会の投稿で言及された「台湾同盟国支援基金法案（Taiwan Allies Fund Act）」は、台湾に対する中国共産党の圧力にさらされている国交国および非公式なパートナーに対し、米行政府が支援を行うための3年間で総額1億2000万ドル（約192億円）の基金設立を認可するものである。

これらの条件を満たす国は、2026年から2028年までの各会計年度において、最大年間500万ドル（約8億円）の資金提供を受けることが可能である。資金は市民社会、メディア、非政府組織（NGO）の能力強化に充てられ、中国の影響力や宣伝に対抗することを目的としている。また、この支援は中国による融資・援助の代替手段としても機能する。

米ワシントンのシンクタンク「グローバル台湾研究センター（Global Taiwan Institute, GTI）」は、今年4月に発表した報告書『米台関係：戦略的パートナーシップ推進の四つの柱（US-Taiwan Relations: Advancing Four Pillars of the Strategic Partnership）』の中で、米政府に対し、台湾の外交関係国が中国の圧力により関係転換を強いられるのを防ぐための支援を呼びかけている。

同報告では、米議会に対して「台湾同盟国支援基金法案」の早期成立を求め、こうした支援活動に必要な資金提供の重要性を強調した。また、米国と志を同じくするパートナー国は、台湾の技術専門家が国連の専門技術機関の活動に参加できるよう、革新的な方策を模索すべきだとしている。

「台湾同盟国支援基金法案」の米下院版で共同提案者を務める共和党のジョン・カーティス議員は、「私たちは他国が中国の圧力の犠牲になることを許してはならない。だからこそ、台湾の同盟国に対する中国の抑圧的な行動に対抗するため、超党派で本法案を提出した」と述べた。

さらに、「本法案は、各国が中国共産党と対峙する際に確固たる立場を保ち、台湾との関係を強化する助けとなるものであり、国務長官マルコ・ルビオ氏の目指す、米国が海外に費やすあらゆる資金が、国民の安全・安心・繁栄につながるという方針にも合致している」と語った。

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