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アメリカのドナルド・トランプ大統領が主導する「相互関税」制度の交渉期限が7月9日に迫る中、ベトナムはイギリスに続いて7月3日、米国との間で関税協定に合意した。これにより、米国はベトナム製品に20％の関税を課す一方、ベトナムは米国製品に対する関税を撤廃する。こうした中、日本の石破茂首相は米国への譲歩を拒否し、「関税よりも投資が重要」との立場を強調。国防費の増額についても、対米協調ではなく日本の自主判断で決めるべきだと主張した。

石破首相「関税より投資が優先」　交渉打開へ雇用創出を強調

共同通信の報道によれば、石破首相は2日、日本記者クラブ主催の討論会に出席し、「関税よりも投資を通じて、米国との経済関係を強化し、雇用創出を図ることが重要だ」と述べた。また、「今後も一貫して日本の国益を守る姿勢を貫いていく」と強調した。

石破首相は、日本製鉄による米国鉄鋼大手の買収を例に挙げ、「日本は世界最大の対米投資国であり、現地で多数の雇用を生み出している」と述べた。その上で、「対米貿易赤字の縮小にも貢献している」として、日本の立場を正当化した。

討論会後に首相官邸で行われた報道陣の取材に対し、石破首相は、トランプ大統領が日本に対する関税交渉への不満を表明したことに関し、「現在も交渉中であるため、コメントは控える」としつつ、「日米双方の利益実現に向け、最大限努力する」と語った。

野党は「目標から遠ざかっている」と批判

日本の最大野党・立憲民主党の代表であり、元首相の野田佳彦氏は2日、石破茂首相の米国との通商交渉に対する姿勢について、「一見進んでいるように見えるが、実際には目標からどんどん遠ざかっている印象を受ける」と厳しく批判した。

野田氏はまた、トランプ大統領が対日関税として「30％または35％」という高税率に言及したことに関連し、今後の日本政府の交渉方針について石破氏に問いただしたが、石破氏は具体的な回答を避けた。

共同通信は、トランプ政権が導入した「相互関税」の一時適用停止措置が7月9日に期限を迎えることに触れつつ、ちょうど同時期に参議院選挙を控える石破政権にとって、非常に厳しい局面になる可能性があると分析している。

日本経済新聞も、日本政府は自動車など個別分野に課されている関税の撤廃や、「相互関税」の軽減を米側に求めてきたが、交渉は思うように進まず、日本側の「防衛ライン」は後退を余儀なくされていると報じた。期限が迫る中、関税の大幅な引き上げを回避することが最優先課題となっている。

米国側は当初、日本を最も早期に合意が期待できる交渉相手と見ており、ベッセント米財務長官も日本を「成果が出やすい相手」と評価していた。しかし現在では、日本は「強硬な交渉相手」と認識されつつあり、過度な期待が失望に転じたとの見方も出ている。

一方で、交渉に関わる外務省の関係者は日経新聞の取材に対し、「交渉が後回しにされているという印象はない」と語った。とはいえ、トランプ大統領の対日姿勢の背後には、アメリカ国内の政治的事情が影響している可能性も指摘されている。

交渉関係者「決裂回避へ交渉継続を模索」　関税発動直前の難局に日本政府対応急ぐ

日本経済新聞の報道によれば、日米間で4月から始まった関税交渉において、日本側は対米投資の拡大や経済安全保障分野での協力といった包括的な提案を米国に提示し、自動車など特定分野への関税撤廃および「相互関税」の回避を求めてきた。

政府内では「一定程度の税率引き下げでも合意できるのではないか」との意見もあるが、交渉関係者の間では「相互関税の発動延期が再度行われる可能性が高い」とする楽観的な見方も根強く、それが交渉姿勢の土台となっているという。

今後の交渉スケジュールについて、経済再生担当大臣の赤澤亮正氏は7月2日、「必要と判断すれば訪米もあり得るが、現時点では決まった予定はない」と述べ、柔軟に対応する姿勢を示した。

ただし、対話の再調整は容易ではないと見られている。対等関税の発動が予定されている7月9日は、奇しくも日本の参議院選挙と重なり、石破茂政権にとって政治的な重圧も増している。農業や自動車など、日本にとって譲歩が難しい分野が交渉の焦点であり、事態打開は困難な状況だ。

石破首相は2日夜、首相官邸で記者団の取材に応じ、「一方的にどちらかの利益だけが実現されるような内容は、もはや交渉とは言えない」と述べ、あくまで相互利益を前提とする方針を強調した。

日本政府の交渉関係者の一人は、英米間で5月上旬に関税合意が発表された際、「焦りを感じた」と心境を吐露。一方で、「今の厳しい状況を変えるには時間がかかる」とも述べ、米国側の関心が薄れる前に交渉を加速すべきだと強調した。「もしトランプ氏が日本との交渉に興味を失えば、それで終わってしまう」との懸念も示されている。

防衛費の自主決定を強調　石破首相「外圧ではなく、日本自身が判断すべき」

共同通信の報道によると、7月2日に日本記者クラブの主催で開催された党首討論会には、与野党8党の代表が出席し、外交・安全保障を含む幅広い政策課題について激しい論戦が交わされた。

この中で注目されたのが、防衛費の増額問題である。米国のトランプ政権が、日本に対し国防予算をGDP比3.5％にまで大幅に引き上げるよう要求していることについて、石破茂首相は「日本の防衛予算は、あくまで日本自身が決めるべき事項であり、外国に言われたからといって従うものではない」と明言した。

また、日本共産党の田村智子委員長も「軍拡競争が進めば、国民生活は大増税によって破壊されかねない。我が党は防衛費の増額に断固反対する」と述べ、政府の方針に強く異を唱えた。

一方、立憲民主党の野田佳彦前首相や、自民党と連立を組む公明党の齊藤鐵夫代表らは、日本は核兵器禁止条約の締約国会議に「オブザーバー参加すべきだ」との立場を示し、非核化への取り組み強化を求めた。

討論会では、日米間の防衛協力のあり方をめぐって、各党首の間で温度差が浮き彫りとなり、今後の外交安保政策における争点のひとつとして注目が集まっている。

【日時】2025年07月03日 19:32
【提供】風傳媒

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