フジロックは渋谷でフラッシュイベントを開催し、全体の雰囲気を盛り上げた。(写真/黄信維撮影) 2025年の「FUJI ROCK FESTIVAL(フジロックフェスティバル)」は、7月25日(金)から27日(日)まで、新潟県・苗場スキー場で開催される。アジアを代表する音楽フェスティバルとして知られるフジロックは、欧米の大物アーティストを招聘する一方で、アジア音楽界との連携も深めてきた。
今回、主催側の企画チームの中核を担う3名が、風伝媒の特別インタビューに応じた。そのうち2名は台湾の音楽業界との関わりが深く、今年の企画や思想、出演者の注目ポイント、会場演出、国際連携などについて語った。
企画チームの一人は、今年最も注目すべきアクトとして、フジロック初出演となるイギリスのFRED AGAIN..とアメリカのファンクバンドVULFPECKを挙げた。「この2組は世界の音楽フェスティバルでも高い注目を集めており、彼らの出演によってフジロックに新しい風が吹き込まれるはずです」と語る。
また、台湾の人気バンドSUNSET ROLLERCOASTER(サンセットローラーコースター)と韓国のHYUKOH(ヒョゴ)によるコラボレーションプロジェクト「AAA」も今年のハイライトの一つ。アジアにおける音楽交流の深化を象徴する試みとなっている。
同氏は、出演者だけでなく、会場そのものが特別な体験であることも強調する。「フジロックは自然の中で音楽を全身で感じられるフェスです。会場内の至る所に驚きが詰まっていて、音楽以外の楽しみも豊富です」と語る。
特に初めて参加する台湾の来場者に向けては、夜間限定で開放される「PALACE OF WONDER」エリアをすすめる。音楽やサーカス、アートなどが融合したこの空間は、幻想的な演出によってまるで異世界に迷い込んだかのような体験ができるという。
また、10年以上にわたり運営に携わってきたベテランのキュレーターは、個人的な思い入れとして「山下達郎氏の出演」を挙げる。「私が入社した時から、いつか山下達郎さんがフジロックで歌う日を夢見ていました。今年、その夢がついに叶います」と話す。
さらに同氏は、フジロックの魅力として「無用の用」へのこだわりを挙げた。「単なる音楽イベントではなく、必要ではないけれど楽しい仕掛けを大切にしています。深夜の迷宮や、ステージ周辺のアート装飾、遊び心あふれるインスタレーションなど、それらがフジロックを唯一無二のフェスにしているのです」と語った。
フジロック開催に先立ち、渋谷でゲリライベントを実施し、イベント全体の盛り上がりを一気に加速させた。(写真/黃信維攝) 彼はまた、夜の「PALACE OF WONDER」エリアに加え、ゴンドラでの山頂体験も強く推奨している。 「時間に余裕があれば、『DRAGONDOLA(ドラゴンドラ)』にぜひ乗っていただきたいです。片道約26分の空中散歩で、美しい山岳の景色を堪能できます。山頂に到着すると、想像を超える風景が待っています」と語った。
最後に、台湾からの観客に向けてこう呼びかけた。「はるばる台湾から足を運んでくださるすべての方が、最高の思い出を持ち帰れるように、私たちは全力でサポートします。苗場でお会いしましょう!」
また別の主催メンバーは、台湾の音楽フェスティバル「ROCK IN TAICHUNG(搖滾台中)」との継続的な連携にも触れた。
2023年からは、若手アーティストの登竜門である「ROOKIE A GO-GO」ステージの選抜が台湾に拡大され、台湾の新進気鋭のミュージシャンがフジロックのステージに立つチャンスを得ている。この試みについて同氏は「台湾、韓国、日本といったアジア各国の次世代アーティストたちが、国際的な舞台へつながる架け橋になれば」と語っている。
海外、特に台湾からの観客に向けて、同メンバーは「FRF公式協力チャンネルであるGANBAN岩盤を通じて、新宿発の直通シャトルバスを提供しています。数に限りはありますが、テントやキャンプ用品のレンタル予約も受け付けています」と紹介。
これらのサービスはすべて英語で情報が提供されており、海外からの参加者もスムーズに予約・利用が可能だという。
さらに全国各地で前夜祭イベントも開催予定。6月13日から27日には「FUJI ROCK WEEK」が東京ミッドタウン八重洲で実施される。無料公演やDJイベント、ドリンクブランドとのコラボレーション、公式ポップアップストア、抽選会などが予定されており、本祭に向けた気運が盛り上がる期間となる。
台湾のバンド「草東沒有派對(No Party For Cao Dong)」は、2024年にフジロックに出演し、メインステージに登場した。(写真/黃信維攝)
公式グッズの第二次先行予約は6月15日まで受付中。毎年人気の出演アーティストTシャツなど新商品が多数用意されている。
チケットについては、定番の3日通し券・1日券に加え、金曜夜限定の「Friday Night Ticket」や、22歳未満限定の「Under 22 One-Day Ticket」が新設された。また、シャトルや専用休憩エリアが利用できる「FUJI ROCK go round」パスも登場している。
車での来場やキャンプを予定している人には、別途での駐車券およびキャンプエリアチケットの購入が必要となるため、事前の確認が求められる。
過去には、フジロックが多くの台湾アーティストを招待してきた実績がある。2022年には、大象體操がRed Marqueeで演奏し、滅火器(Fire EX.)がWhite Stageに出演。2024年には草東沒有派對(No Party For Cao Dong)が初めてGreen Stageに登場し、主要ステージでアジアを代表する存在として脚光を浴びた。
さらに2017年には、原住民アーティストの舒米恩(Suming)氏や以莉・高露(Ilid Kaolo)氏、実験ロックバンドの落差草原 WWWW(Prairie WWWW)も招かれ、多様な台湾音楽の魅力が苗場の地に響いた。
フジロック2025は、豪華な出演者と共に、自然・アート・驚きが融合する体験型音楽祭として、国内外の観客を迎える準備を着々と進めている。