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「豊かでなくとも助けられる」ケソン元大統領のユダヤ人受け入れの歴史 フィリピン

第2次世界大戦中のホロコースト犠牲者を追悼し想起するための「国際ホロコースト記念日」の1月27日、在比イスラエル大使館の協力のもと、教育省の対外パートナーシップサービス部門は「記憶、尊厳、正義」というテーマでオンラインシンポジウムを開催した。

シンポジウムの様子は同省の公式フェイスブックページでライブ配信された。

ブリオネス教育相は、太平洋戦争直前にナチスの残虐な迫害から逃れてきたユダヤ人難民に門戸を開きフィリピンに受け入れたマニュエル・ケソン元大統領の人道的な功績も紹介した。

ナチスが組織的に行ったユダヤ人絶滅政策で犠牲になったユダヤ人は600万人に上るとされている。

ブリオネス教育相やニール・バルザム在比イスラエル公使、フィリピン・ユダヤ協会会長やケソン市のベルモンテ市長らが追悼の意を込めて600万人のユダヤ人を象徴する6本のロウソクに順に火を灯し、黙とうを捧げた。

シンポジウムの初めには、ポーランドのアウシュビッツ・ビルケナウ収容所にも掲げられている、哲学者ジョージ・サンタヤナの「過去を忘れる者は必ず同じ過ちを繰り返す」という言葉が引用され、ロクシン外相もビデオメッセージで「ホロコーストを記憶し、二度と繰り返さないという約束を守る責任がある」と強く訴えた。

ブリオネス教育相は、「(ナチスの迫害が行われていた)当時、ネグロス島に住んでおり、ユダヤ人難民がフィリピンに来ていることを知っていた」と証言した。

「ケソン元大統領がどのように約1300人のユダヤ人を受け入れるに至ったか、その決断と困難な道のりを描いた映画を鑑賞し涙を流した」とフィリピン映画「ケソンズ・ゲーム」(2018年)に言及した。

「今こそ、あまり知られていない当時のケソン元大統領の人道的な政策を伝えなければならない」とし、「世界で最も豊かな国でなくても困難な状況にある人たちを助けたり保護したりできる。

この国は何度もそうしてきたと子どもたちに教える時がきた」と強調した。

教育省対外パートナーシップサービス部門担当のウマリ次官は「歴史を繰り返さないためにも、過去からの教訓を得てそれを私たちがどう応用し行動していくのか。

視聴者の皆さんの今後の意識が高まることを願っている」と述べた。

また、フィリピン・ユダヤ協会会長は生還者の証言やケソン元大統領など「一人一人の思いと葛藤、経験と物語が歴史教育にもつながる」とし、「教育省の協力のもとでフィリピンの教育課程でもこの歴史をぜひ教えていってほしい」との願いを語った。

今回のシンポジウムでは、パブリック・ヒストリーの研究者や実際にアウシュビッツ収容所を生き抜いた生還者リナ・クイント氏の証言講演も行われた。

最大6000人余りが視聴し、一般人や教育機関の教師だけでなく、多くの生徒や学生らも比全国各地から参加。

イスラエルのヤドヴァシェム・ホロコースト記念館のバーチャルツアーや、研究者らによるパネルディスカッションも行われた。

また、これに先立ち、在比イスラエル大使館はケソン市のフィリピンとイスラエルの友好記念碑でキャンドル点灯式を行い、その様子も録画映像で紹介された。

(深田莉映)
【日時】2022年02月01日
【提供】まにら新聞
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