
タイ医療サービス局は、雨季に多く見られる皮膚疾患「ジベルばら色粃糠疹(Pityriasis Rosea)」への注意を呼びかけています。この疾患は突然発症し、皮膚の自然なラインに沿って円形または楕円形の発疹が現れるのが特徴で、松の枝のような独特のパターンを形成します。2025年7月2日にタイ政府メディアNNTが伝えています。
発症の中心は10歳から35歳の若年層で、女性に多く見られます。発疹は通常6〜8週間で自然に消失しますが、人によっては数カ月続くこともあり、特に妊娠初期(15週以内)の女性では流産との関連が指摘されているため、十分な注意が必要です。
最初に「ヘラルドパッチ」と呼ばれる大きめの発疹が胴体に現れ、その後、首や上腕にかけて小さな発疹が広がっていきます。色調はピンク、サーモンピンク、または薄茶色で、縁がやや盛り上がり、表面には細かな鱗屑(ふけのようなかさつき)が見られます。顔や手足に症状が出ることは少なく、およそ4人に1人がかゆみを伴います。
一部の患者では、発疹の前に頭痛や微熱、関節痛、筋肉痛といった全身症状が現れることがあり、まれに初期段階で膿を含んだ小さな発疹が出るケースもあります。ジベルばら色粃糠疹は感染性がなく、通常は痕を残さず自然に治癒しますが、他の皮膚疾患との判別のためにも、皮膚科での診断を受けることが推奨されています。
治療は主にかゆみなどの症状緩和が目的で、保湿剤や外用ステロイド剤、抗ヒスタミン薬の使用が有効です。症状が強い場合には、短期間の経口ステロイドやUVB紫外線療法が処方されることもあります。いずれの場合も、医師の指導のもとでの適切な対応が求められます。