
タイ陸軍は2025年7月2日、地図サービス「Googleマップ」で古代クメール遺跡 Prasat Ta Muen Thom(ปราสาทตาเมือนธม)がカンボジア領内に表示されている件について、「この表示には法的な効力はなく、タイの主権に影響はありません」とする見解を示しました。各報道が伝えています。
この遺跡は、スリン県パノムドーンラック郡タームエン村バーンノーンカンナに位置し、タイが一貫して管理と保全を行ってきた場所です。現地では行政機関も活動を続けており、実効支配が継続されています。
一部のSNS利用者の間で、「Googleマップの国境線が変更され、遺跡がカンボジア側に含まれている」との指摘があり、領土を巡る懸念が広がりました。これに対し陸軍は、Googleマップに表示される境界線は民間の情報をもとにしたものであり、国際的にも国内的にも正式な国境とは一致しないと説明しています。
この問題は、5月末にウボンラーチャターニー県の国境地帯で発生した衝突の後、カンボジア側が国際司法裁判所に対して Prasat Ta Muen Thom などの領有権を主張して訴訟を起こしたことに関連しています。タイ側は、この訴えに対して「裁判所の管轄権を認めない」とする立場を取り、無効であると表明しています。
陸軍は、「タイはこの遺跡に対し地理的根拠と継続的な行政活動をもって主権を維持しています」と強調し、Googleマップ上の表示に誤りがある場合は、市民が修正を申請できることも案内しています。