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昨年、国内では3年ぶりに豚の生レバーを食べてサナダムシに寄生された千葉県の男性のニュースをお届けしたが、インドでは大腸に巣食っていた1.9メートルのサナダムシを、なんと(!)口から取り出す手術が行われた。
国際医学誌『ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』に26日付で発表された。
インド南西部PVSメモリアル病院の勤務医サイリアック・フィリップス医師は最近、これまで見たこともないくらい長い寄生虫が腸内にいる患者に遭遇した。
この男性患者は48歳。
病院を訪れる前の2カ月間ずっと腹痛に耐え続けており、血液検査の結果、ヘオグロビンの量が通常より下回る軽度の貧血を起こしていた。
症状を聞いたフィリップス医師は大腸の内視鏡検査を実施した。
サナダムシは生の魚や豚肉に寄生し、加熱不十分の状態で食べると、6〜8週間ほどで腸内で成長して、腹痛や嘔吐、下痢などの症状を引き起こす。
かつての日本では知らないうちに感染して、気づかないまま腸内で虫が育ち、ある日トイレで長い虫が出てきてビックリするという出来事がよくあったというが、この男性患者には肛門に近いS状結腸から胃につながる十二指腸まで伸びるようにサナダムシが寄生していたという。
通常ならば、抗寄生虫薬や下剤を飲んで、大便と一緒に排出する治療法が一般的だが、この患者の場合は、胃カメラを使って口からサナダムシを引っ張り出すしか手段はなく、手術には1時間15分かかったという。
サナダムシの場合、種類によっては体長6メートル以上に達することもあり、駆除しても頭部が体内に残っていると再び成長するおそれがあるが、このケースでは手術後に抗寄生虫薬を服用して、1カ月過ぎた現在では、元どおり回復したという。
かつてサナダムシを寄生させることでダイエットに効果があるとか、花粉症が治るなどといった都市伝説が広がったが、専門家によると副作用のほうが多く、免疫力の低下や鉄分不足による貧血などほかの病気になる可能性も高いため、安全性は確立されていない。
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