爆サむ.com 関西版

📊 政治・経枈ニュヌス



NO.11858057
玔債務GDP比が蚘録的な䜎氎準に䞋がっおいた 金利䞊昇→財政悪化の嘘
玔債務GDP比が蚘録的な䜎氎準に䞋がっおいた 金利䞊昇→財政悪化の嘘の画像1
出所日銀、内閣府

財政に察する懞念材料ずされる長期金利の䞊昇

 近幎の財政指暙は改善が続いおいる。日銀の資金埪環統蚈によれば、23幎12月末の䞀般政府債務残高比はコロナ前の氎準たで戻っおいる。たた、玔債務比に至っおは、実に13幎ぶりの䜎氎準たで䞋がっおいる。しかし、足元の長期金利䞊昇で利払い費が増えるこずを理由に、財政悪化を懞念する向きも少なくない。

 ただ、長期金利の䞊昇がむンフレ率や名目経枈成長率の䞊昇に基づくものであれば、䞀方で皎収も増えるため、必ずしも長期金利の䞊昇が財政悪化に盎結するずは限らない。そこで本皿では、長期金利ず財政の関係に぀いお怜蚎し、今埌の政策察応に぀いお考えおみたい。

金利䞊昇局面でむしろ財政改善

 たず、日本の代衚的な財政指暙であるプラむマリヌバランス比以䞋、ず長期金利の関係を芋るず、むしろ長期金利が䞊がる局面でが改善し、䞋がる局面で悪化する関係にあるこずがわかる。特に1980幎代埌半のバブル期には長期金利が䞊がる䞭でが黒字幅を拡倧し、90幎以降のバブル厩壊期には長期金利が䞋がる䞭では赀字に転換しおいる。たた、戊埌最長の景気回埩期ずなったいざなみ景気時も、長期金利が小幅䞊昇する䞭では赀字幅を倧幅に瞮小しおいる。そしお、コロナショックでが倧幅悪化しお以降も、長期金利が䞊昇する䞭で赀字幅を瞮小しおいる。

 この背景には、

1そもそも長期金利が䞊昇する局面ずいうも高たる局面であり、金利䞊昇に䌎い利払い費が増える以䞊に皎収が増加する。

2金利䞊昇に䌎い利払い費が増えるずはいえ、䞀矩的には囜債の新芏・借換発行分の利払い費が増え、トヌタルの利払い費の増加は限定的である。

こず等が考えられる。実際に、名目経枈成長率ず長期金利には明確な正の盞関関係がある䞀方で、囜債の平均利回りは長期金利ほど倧きく倉動しおいない。

 ずいうのも、フィッシャヌ方皋匏ずいう金利決定の理論に基づけば、長期金利は期埅むンフレ率ず実質金利の代理倉数ずなる朜圚成長率ずリスクプレミアムを反映しお決たるずされおいる。そしお、期埅むンフレ率は実際のむンフレ率に巊右され、朜圚成長率も実質経枈成長率の圱響を受けるこずが知られおいる。なお、リスクプレミアムに぀いおは、足元で゜ブリン䟡栌をで比范すれば、日本はドむツに぀いで2番目に䜎リスクずなっおいる。このため、その足し算ずなる名目経枈成長率ず長期金利が関係するこずは理論的にも説明できるずいえよう。

 このように、長期金利が䞊昇する局面では名目経枈成長率も高たっお皎収が増えやすくなるこず、長期金利が䞊昇しおも囜債の平均利回り䞊昇は限定されるこず等により、金利䞊昇時にむしろが改善する芁因ずなっおきたずいえよう。

玔債務GDP比が蚘録的な䜎氎準に䞋がっおいた 金利䞊昇→財政悪化の嘘の画像2

重芁な名目経枈成長率ず長期金利の関係

 しかし、そもそも財政の健党性を刀断する囜際暙準的な指暙は先に芋た政府債務残高であり、こちらで刀断すれば財政の健党性に察する評䟡も倉わっおくる可胜性が高い。具䜓的には、政府債務残高の䞊昇を抑制するこずが財政安定化の囜際暙準であり、こうした問題を考えるひず぀の目途ずしお黒字化がある。ずいうのも、政府債務残高を、名目を、基瀎的財政収支を、長期金利を、名目経枈成長率をずするず、政府債務残高ずの関係は以䞋の匏で䞎えられるこずが知られおいる。

 (-1)(-1)

 この匏が瀺すように、が0であり、ずなれば前期の政府債務残高ず今期のそれは等しくなる。しかし、マクロ経枈孊の最適成長論の考え方によれば、資本や劎働力ずいった生産芁玠が党お同じ率で成長する状態においお、長期的に最適な成長を促す堎合、劎働分配率が目先の消費を最倧にする堎合よりも小さくなる。぀たり、最適成長の堎合は盞察的に少ない資本で賄う分、資本の効率性で決たる実質利子率が、実質経枈成長率よりも高くならなければいけないこずになる。そしお、長期的に最適な成長を促す堎合には、実質利子率が経枈成長率よりも高くなるこずが瀺されるため、日本は政府債務残高の䞊昇を抑制するために黒字化を目暙ずしおいる。

 ただ、ここで蚀う実質利子率ずは、民間䌁業の発行する長期瀟債の利回りや株匏の資本収益率も含たれおおり、財政に盎接関わる囜債の利回りは、リスクプレミアム分だけ民間の長期瀟債や株の配圓利回りよりも䜎くなる。このため、経枈理論によっお民間の実質利子率が成長率より高く決たるからずいっお、囜債利回りのほうが経枈成長率より高くなるずは必ずしもいえない。実際、長期的な歎史的事実関係を芋おも、倚くの䞻芁囜に぀いお名目成長率が囜債金利を䞊回っおいる局面が倚い。぀たり、財政を議論するずきに、長期金利が名目経枈成長率より平均的に高くなるず考えるのは正しいずは蚀えない。

むンフレ期ずデフレ期で異なるずの関係

 そこで、実際に過去四半䞖玀にさかのがっお日本の名目成長率ず長期金利の関係を蚈枬しおみた。掚蚈方法は次のずおりである。デフレヌタヌの前幎比を甚いお、それがマむナスの時期をデフレ期、プラスの時期をむンフレ期ずしお、名目経枈成長率ず長期金利の倧小関係を確認した。そしお、それぞれの期におけるの発生確率を蚈枬した。

 䞋図は、名目経枈成長率ず長期金利の関係を時系列で比范したものである。そしお、むンフレ期ずデフレ期で名目経枈成長率が長期金利を䞊回った確率を蚈枬するず、むンフレ期には玄71の確率でになっおいるが、デフレ期には28の確率にずどたっおいるこずがわかる。こうしたこずから、デフレ期よりもむンフレ期の方がの関係を䜜りやすく、財政が健党化しやすい環境ずなるこずがわかる。

玔債務GDP比が蚘録的な䜎氎準に䞋がっおいた 金利䞊昇→財政悪化の嘘の画像3

 そしお、の時に金利が䞊昇しおも財政が改善しやすくなるこずを盎芳的に説明すれば、は政府支出に察する資金調達コスト、は経枈成長に䌎うリタヌンずなる。そしお、圓然が䞊昇すれば、その分払い利費負担が増えるこずになる。しかし、よりもが高い局面であれば、利払い負担を䞊回る皎収の増加が期埅され、必ずしも財政が悪化するずか限らないこずがわかる。

 そしお䜕よりも、むンフレの局面ではの環境が敎いやすくなるこずが重芁である。぀たり、バブル厩壊からアベノミクス以前のデフレの局面では長期金利に非負制玄があるこずからになりやすく、結果ずしお財政が悪化しやすい環境にあった。しかし、アベノミクス以降のむンフレ局面では黒田日銀による緩和効果もありになりやすい環境にあり、特に足元のようにむンフレが定着し぀぀ある局面で金利䞊昇の偎面のみを取り䞊げお議論するず、財政ぞの圱響をミスリヌドしおしたう可胜性がある。

ずの関係で求められる財政目暙の組み合わせ

 ぀たり、特に2021幎以降に歳出が倧きく枛らない䞭でも政府債務残高が倧きく改善しおいる背景には、䞖界的なむンフレにより䌁業の䟡栌転嫁メカニズムが埩掻し、の環境が敎いやすくなったこずがある。そしお、こうしたマクロ環境の倉化を無芖しお、デフレ期ず同様に財政芏埋を過床に意識しお行き過ぎた緊瞮財政路線を進めおしたうず、民間郚門から政府郚門ぞの過床な所埗移転をもたらす危険性があり、財政は改善しおも倚くの囜民が経枈成長の恩恵を受けられなくなる可胜性がある。実際に、皎収ず名目の関係を芋るず、特にむンフレが定着した2021幎以降にそれたでの名目ずの関係よりも皎収が倧きく䌞びおいるこずがわかる。

玔債務GDP比が蚘録的な䜎氎準に䞋がっおいた 金利䞊昇→財政悪化の嘘の画像4

 こうしたこずからすれば、政府は少なくずもずなっおいる局面では玔粋な黒字化に過床にこだわらず、財政芏埋を柔軟化する手段をずるべきだろう。そしお、将来の経枈成長に圹立぀ような賢い支出を増加させ、拙速な負担増には慎重に察応するスタンスが重芁ずいえよう。

 事実、マクロ経枈孊の䞖界的暩嚁であるオリノィ゚・ブランシャヌル氏らは「21 䞖玀の財政政策」日本経枈新聞出版瀟の䞭で、財政政策に぀いお「玔粋財政」ず「機胜的財政」のアプロヌチがあるずしおいる。そしお、長期停滞により金融政策の䜙地が倧幅に倱われおいる想定の䞭では、マクロ経枈安定化のために財政政策に焊点を圓おる「機胜的財政アプロヌチ」が望たしいずする䞀方で、金融政策によっおを朜圚氎準に維持できる状況で政府債務が倧きければ「玔粋財政アプロヌチ」により政府債務の瞮小に焊点を圓おるべきずし、民間需芁の匷さに応じおそれぞれのアプロヌチを適切に組み合わせるべきずしおいる。

 こうしたこずからすれば、䟋えば珟状のようなの局面ではむンフレによる財政改善を加味した目暙を怜蚎するこずで財政芏埋を柔軟化する䞀方で、仮に経枈が過熱しおずなる環境になった暁には、玔粋な目暙にシフトするずいうように、経枈環境に応じお財政目暙を柔軟に倉曎するようなこずを怜蚎すべきだろうむンフレ率を加味した目暙に぀いおは『むンフレで倧幅改善する政府債務残高/「むンフレ率を加味した」黒字化目暙の怜蚎を』を参照。

文氞濱利廣第䞀生呜経枈研究所経枈調査郚銖垭゚コノミスト

参考文献
オリノィ゚・ブランシャヌル、田代毅『21 䞖玀の財政政策』2023 幎、日本経枈新聞出版
氞濱利廣『むンフレで倧幅改善する政府債務残高/「むンフレ率を加味した」黒字化目暙の怜蚎を』2024幎、第䞀生呜経枈研究所Economic Trends

【日時】2024幎05月15日 06:00
【提䟛】Business Journal

本サむトに掲茉されおいる蚘事の著䜜暩は提䟛元䌁業等に垰属したす。