
タイ保健省食品医薬品局(FDA)は2025年6月11日、「ยาเสียสาว(ヤーシアサーオ)=デートレイプドラッグ」による被害防止のため、啓発ポスターを発表しました。これらの薬物は、睡眠作用や意識の混濁を引き起こし、性的暴行や窃盗などの犯罪に悪用されるケースが後を絶たないといいます。
食品医薬品局によると、特に以下の薬物が不正使用のリスクが高いとされます:
・ミダゾラム(Midazolam):睡眠導入剤(商品名:ドルミクムなど
・アルプラゾラム(Alprazolam):抗不安薬
・フルニトラゼパム(Flunitrazepam):強力な睡眠薬(通称ロヒプノール)
・GHB(γ-ヒドロキシ酪酸):強い昏睡作用を持つ薬物
・ケタミン(Ketamine):麻酔・幻覚作用を持つ薬物
これらはすべて中枢神経に作用する医薬品であり、法律により厳しく管理されています。正規の医師の処方が必要で、市販やオンラインでの購入は違法です。
被害の兆候として現れやすい症状
被害に遭った可能性がある場合、次のような兆候が現れることがあります:
・強い眠気やふらつき、ろれつが回らない
・意識の混濁、記憶の断片化
・突然の吐き気やめまい
・自分の意思で行動できない感覚
・昏睡に至るケースもある
自分を守るための対策
食品医薬品局は、以下のような自己防衛策を市民に呼びかけています:
・見知らぬ人から飲食物を受け取らない
・飲み物を放置せず、常に自分で管理する
・味や色に違和感がある飲み物は飲まない
・異変を感じたらすぐに信頼できる人へ助けを求める
また、違法販売や不審な取り扱いを見かけた場合は、FDAのホットライン「1556番」へ通報するよう呼びかけています。
正しい知識で身を守る
アルプラゾラムやフルニトラゼパムといった薬は、本来は不安障害や不眠症の治療に使われる医療上重要な薬物であり、正しい使い方をすれば非常に有用。しかし近年では、SNSや闇ルートを通じて違法に流通し、犯罪に悪用される例が目立ってきています。
保健当局は「知識と注意が最大の防御。知らずに飲まされるリスクを減らすには、自分自身と周囲への関心を持ち続けることが重要だ」と訴えています。