
アメリカのトランプ大統領は7月1日、記者からの質問に答え、イーロン・マスク氏の国外追放について言及した。
政府との契約打ち切り、国外追放
トランプ大統領の、大型減税を盛り込んだ「大きくて美しい法案」が7月1日、アメリカ議会上院において51対50の僅差で可決し、今後再び下院に送られることになった。
「テスラ」や「スペースX」のCEOを務めるマスク氏は以前から、この法案が可決されれば、「財政赤字は拡大するだけだ」と発言しており、数日前から、再び批判を展開した。
マスク氏は、新たな「アメリカ党」の設立を宣言し、来年の中間選挙で、この法案を支持する共和党の議員に挑戦することを誓ったという。
トランプ大統領は即座に反撃し、マスク氏との政府契約を打ち切り、国外追放さえも辞さないと警告した。
DOGEによる調査を求める
トランプ大統領は7月1日、ホワイトハウスで記者団から聞かれ、「彼(マスク氏)はEV義務化を失うことに腹を立てている。彼はそれ以上の損失を被る可能性がある」と答えた。
また南アフリカ出身であるマスク氏の国外追放を検討するか、と記者から問われたトランプ大統領は、「分からない。慎重に見極める必要があるだろう」と答えたという。
さらに、「イーロンに対し、DOGE(政府効率化省)の調査を課す必要があるかもしれない。DOGEって何だか知ってるか?DOGEはモンスターで、イーロンを食い尽くすかもしれない。そうなったらひどいことになるだろう。彼は多額の補助金を政府から受けている。イーロンはEV義務化が廃止されることに非常に憤慨している」と述べた。
またトランプ大統領はSNSにも、次のように投稿した。
「電気自動車は悪くないが、誰もが所有を強制されるべきではない。イーロン・マスクは歴史上、誰よりも多くの補助金を受けているかもしれない。補助金がなければ、彼はおそらく店を閉めて南アフリカに帰国せざるを得なくなるだろう。ロケットの打ち上げ、衛星の打ち上げ、電気自動車の生産がなくなることで、我が国は莫大な資金を節約できる。DOGEにこの件を真剣に検討してもらうべきではないだろうか? 莫大な資金が節約できるのだ!」
マスク氏は大統領選でトランプ氏を支持し、DOGEのトップを務め、連邦機関の予算削減や数多くの連邦職員などを解雇してきたが、今年の5月末には職を辞していた。
2人の再燃した論争は投資家の目に留まり、トランプ大統領の発言により、「テスラ」社の株価は5%以上下落したという。(了)