
国連特別報告者は先日、パレスチナの土地におけるイスラエル軍のジェノサイドに加担している企業を公表した。
「企業がジェノサイド経済に組み込まれている」
パレスチナでの人権状況を監視している国連特別報告者のフランチェスカ・アルバネーゼ氏は6月30日、イスラエルによるパレスチナ人追放とガザ地区におけるジェノサイドを支援している企業を網羅した新たな報告書を発表した。
この報告書は7月3日に、ジュネーブで開催される国連人権理事会で発表される予定だが、そこにはアメリカのIT大手、「マイクロソフト」や「アルファベット(Googleの親会社)」、「アマゾン」を含む48の企業名が挙げられていた。
また今回の調査では、1000社を超える企業体のデータベースも構築されたという。アルバネーゼ氏は報告書において、次のように指摘している。
「(イスラエルの)永続的な占領は、武器製造業者や巨大IT企業にとって理想的な実験場となっている。需要と供給が膨大である一方で、監視はほとんどなく、説明責任も全くない。投資家や官民の機関は自由に利益を上げている。企業はもはや占領に関与しているだけでなく、ジェノサイド経済に組み込まれている可能性がある」
報告書にある企業とは?
アルバネーゼ氏は昨年、イスラエルがパレスチナ自治区でジェノサイドを犯していると信じる「合理的な根拠」があると指摘。
また報告書では、今回の調査結果が「イスラエルによるジェノサイドが続く理由」を明らかにしているとし、「それは多くの人にとって利益になるからだ」と理由を述べた。
イスラエルが調達しているF-35戦闘機は、世界最大の兵器プログラムの一部であり、8カ国にまたがる少なくとも1600社の企業に依存しているという。
機体の製造などはアメリカに拠点を置く「ロッキード・マーティン」社が行っているが、F-35戦闘機の部品は世界中で製造されている。
特にイタリアのメーカーである「レオナルド(Leonardo S.p.A)」社は大きな役割を果たしていると指摘されており、日本の「ファナック(FANUC)」株式会社も、兵器製造ラインにロボット機械を供給しているという。
一方、テクノロジー企業はパレスチナ人の生体認証データの収集、保管をし、そしてイスラエル政府の利用を可能にしていると、報告書は指摘している。
「マイクロソフト」や「アルファベット」、「アマゾン」はイスラエルに「事実上、政府全体にわたるクラウドおよびAI技術へのアクセス」を許可し、データ処理・監視能力を強化しているそうだ。
アメリカのテクノロジー企業「IBM」は、イスラエル軍および諜報機関の職員の訓練に加え、パレスチナ人の生体認証データを保管している、イスラエルの人口・移民・国境局(PIBA)の中央データベースの管理も担っているという。
アメリカの「Palantir Technologies」社は、2023年10月のガザ紛争開始以降、イスラエル軍への支援を拡大し、AIを使った自動意思決定やデータ処理、標的リスト作成に使用される自動予測型警戒技術(automatic predictive policing technology)を提供したと考えられている。
報告書ではまた、アメリカの「キャタピラー」社や、レオナルド傘下の「Rada Electronic Industries」社、韓国の「ヒュンダイHD」、スウェーデンの「ボルボ・グループ」なども、ヨルダン川西岸地区における住宅解体や違法入植地開発のための重機を提供していると明らかにした。
また戦費の調達には国債が重要な役割を果たしており、ガザ侵攻でイスラエルの国債の信用が下がったにも関わらず、世界有数の銀行であるフランスの「BNPパリバ」やイギリスの「バークレイズ」なども上乗せ金利を抑制するために、介入したという。(了)