タイ保健省で2025年6月5日、国家感染症委員会の会合が開かれ、ソムサック・テープスティン保健相が、新型コロナウイルスと季節性インフルエンザの感染が再び拡大している現状を報告しました。これを受けて、ワクチン接種の継続や感染対策の徹底が全国に呼びかけられています。
2025年のこれまでの累計で、タイ国内の新型コロナ感染者は33万人以上、インフルエンザ患者も34万人を超えています。死亡者はそれぞれ73人と47人で、いずれも高齢者や持病を抱える人が中心です。感染は特に学校や刑務所で目立っており、政府は引き続きワクチン接種や衛生対策の維持を国民に要請しています。
会議ではこのほか、外国人労働者など非登録住民に対する感染症対策計画(2025〜2027年)も承認されました。この計画では、本人確認に指紋や顔認証などの生体認証(バイオメトリクス)を活用し、医療サービスとの接続性を高めていく方針です。人道的配慮や個人情報の保護も重視され、今後、閣議に提出されます。
2025年には、すでに5人が狂犬病で死亡しており、チョンブリ県やナコンラチャシマ県など17県が「高リスク地域」として指定されました。保健省はこれらの県に対し、動物へのワクチン接種の徹底や、感染者・接触者の追跡、保健ボランティアへの研修強化などを指示。畜産局と地方自治体には、リスクの高い職員向けの予防ワクチンの確保も求めています。
梅毒(シフィリス)は、2025年に入ってからすでに約1万3,000人が感染し、そのうち先天性梅毒(2歳未満)は582件。主に若年妊婦によるもので、早期の妊婦健診が改めて重要視されています。
また、ムクダハン県では生肉を日常的に食べていた人が炭疽(アンスラックス)に感染し、5人中1人が死亡。サケーオ県でも同様の症例が確認され、保健省は加熱調理された食品の摂取や、異常な症状のある動物との接触を避けるよう呼びかけています。
———-タイ国内では依然として多くの感染症が懸念されており、保健省は「健康な日常のためには、基本的な感染対策の継続が鍵だ」としています。これからの雨季を迎えるにあたり、今一度、手洗いやマスク着用、そしてワクチン接種の重要性が問われています。
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