マカオではアフターコロナで社会・経済の正常化が進む中、歩行者の禁止場所や赤信号での道路横断行為が目立っており、交通事故リスクの増大につながる懸念から大きな社会的関心事のひとつとなっている。
マカオ治安警察局は6月26日夜、同局として道路安全維持へ取り組み、歩行者の違反行為に起因する交通事故の減少を目的としたマカオ各所で監察及び違反行為に対する取り締まりを継続する中、直近1週間(6月16日から22日まで)で歩行者による道路横断違反を179件検挙したと発表。前週から26件増(17.0%増)で、2週連続増だった。
同局が週次の取り締まり状況を定期的に発表するようになった一昨年(2023年)年9月18日以降、週次の検挙者数は昨年(2024年)4月15日から28日まで、6月3日から9日まで、8月12日から10月13日まで、11月4日から12月22日まで、今年1月27日から2月2日までの計18週間を除いて3桁の高位が常態化している。同局公表の統計資料を参照すると、今年1〜5月累計の違法道路横断検挙件数は前年同時期から3.23%減の3949件、歩行者が絡む交通事故件数は27.32%増。
マカオ治安警察局が違反頻発地点のひとつで実施した歩行者の道路横断違反に対する取り締まりの様子=マカオ半島・友誼大馬路付近(写真:マカオ治安警察局) アフターコロナでマカオの交通ルールに不慣れなインバウンド旅客やマカオ域外からの労働者の数が増える中、同局ではパトロール及び取り締まりのほか、違反頻発地点への大型標識の設置やSNSへの啓蒙動画掲載といった周知策を講じている。しかしながら、目立った状況の改善には至っておらず、違法横断の歩行者(主にインバウンド旅客が絡む事案)をきっかけとした交通事故も絶えない。
同局によれば、マカオの道路交通法の規定により歩行者は横断歩道など適切な横断用表示のある場所で道路を横断することが求められ、また信号機のある場所では信号の指示に従う必要があり、付近50メートル以内に横断表示のある場所がないところでは車両の通行に影響がない場合に最短距離での横断できるとしたほか、道路使用者は交通を阻害してはならず、他の道路使用者の安全や利便性に影響を及ぼしてならないとし、違反した場合は300パタカ(日本円換算:約5380円)の罰金が科されるとのこと。
同局は歩行者に対し、自身及び他の道路使用者の安全な通行を確保するため、不適切な道路横断や交通阻害行為をせず、必ず道路横断設備(横断歩道、歩道橋等)を使用すること、また運転者に対しても路面状況に留意し、安全な車間距離とスピードを保ってほしいとし、人と車で譲り合い、共に安全な道路環境作りを進めるよう再三にわたり呼びかけを行っている。
マカオ治安警察局が違反頻発地点のひとつで実施した歩行者の道路横断違反に対する取り締まりの様子=コタイ地区・新城大馬路付近(写真:マカオ治安警察局)