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■日本のモノづくりは、もう終わったのか?
日産に続いてSUBARUでも、無資格者による検査が慢性化していたとか、神戸製鋼の長年に渡る品質検査データの改ざんが明るみに出るとか。

何だか、日本の製造業がおかしいと感じる事件が相次いでおり、「日本の屋台骨を支えているのは製造業」とか「日本製の品質は世界一」とか、ずーっと信じていた犬助などは寂しさを感じているのです。

まあ、白物家電やIT器機といった日本が得意としてきた製品が、新興国に押されるようになってずいぶんたちましたから、製造業がおかしくなったのは今に始まったことではないという意見もあるでしょう。

しかし、白物家電については製造コストが合わなくなっただけのこと。

産業構造の変化に伴うものと思っていますから、日産やSUBARU、神戸製鋼の相次ぐ不正の発覚とは問題の根本が違う。

小手先でごまかすようなことが露見し出した様子を見ると、正直心が痛むのです。

もう「日本＝モノづくりの国」という時代は終わったのかもしれません。

■中国富裕層のトレンドは「日本の」住宅を建てること
そんなことを考えていたら、中国在住が長い友人から面白い話を聞きました。

「いやいや、日本のモノづくりとかブランドって健在なんだぜ」

中国の人たちが日本製のものをありがたがるという風潮は昔からあったのです。
例えば爆買いという言葉が流行したことでもわかる通り、そのエスカレートした様子は広く知られるようになりました。

最近では、元高・円安傾向も落ち着いたと同時に、爆買いもずいぶん収まった模様……と、思っていたらやっぱり中国の富裕層は違います。

彼らのトレンドとは日本の住宅を建てることだとか。

これは、日本風の庭園を造るとか、日本風の建築を建てるとかそういうことではありません。

文字通り、「日本の」住宅を建てること。

日本から建材全てを輸入して、さらには日本から職人も中国に呼んだ上で、日本の住宅を中国に建てさせるというのです。

健在の輸入、職人の滞在費……総額で、いったいいくらかかるのやら。

まあ、あちらの大金持ちはスケールが違う。

そして、日本ブランドは健在なのです。

■セキスイハイム、現在タイで奮闘中!!
日本の住宅をありがたがる傾向は、タイでも起こっているといいます。

絶賛人口減少中・空き家問題沸騰中の日本に見切りをつけ、いち早くタイへと進出したのは「セキスイハイム」。

御存知の通り、独自の鉄骨製ユニットを工場生産、それを現地で組み上げる軽量鉄骨構法をウリにする、日本有数の住宅メーカーです。

セキスイハイムがタイに進出したのは2009年。

セメントや石油製品、パルプなどを手がける現地の大手素材メーカー「SCGM」と手を組み「SCGハイム」を設立。

現地に最新鋭のユニット工場も竣工・稼働させ、年間500棟を販売するまで成長したというのです。

まあ日本でセキスイハイムが手がけている、年間1万2,000棟という住宅から見れば微々たるものではありますが、全く経営環境が異なるタイという地で実績を積み上げているのですから、立派なものといえるでしょう。

■背景にあるのは、日本の技術・ブランド力
安全性の高さ、防音性の高さ、24時間換気システム……セキスイハイムがタイでセールスポイントとしている点は、日本と全く同じとのことなのですが、中でも好評なのは、工場で製造されたユニットを半日で組み上げ構造を完成させてしまうという軽量鉄骨構法の斬新さ。

そりゃあ、住宅を建てるのに1年以上かかるのが当たり前というタイの人たちから見ると驚きのはず。

巨大なユニットが組み上がっていく際には見物人があつまるほど。

そして組み上がると拍手が起こるほど大ウケにウケているというのです。

現在の主力商品は1,900万円程度の住宅で、タイ現地の業者が手がけるものの倍程度の価格はするものの、それでもSCGハイムの業績は好調。

その背景にはパートナーであるSCGMの信頼度もあるのですが、日本の住宅の技術力・安心感、そしてブランド力があるのでしょう。

今度は太陽光発電パネルや家庭様蓄電池を備えた最先端のスマートハウスを、バンコクに100軒建てると、鼻息も荒いのです。

聞けば未だに電力供給が不安定というバンコク。

単にエコなだけでなく、タイならではの電力事情に対応できる住宅と聞けば日本ブランドと相まって、またヒットするのではないか?

と、予想もつきますよね。

■暗い情報ばかりに目を向けるのではなく
日本のブランドが地に落ちたとか、モノづくり日本の終焉とか。

そんな風にいうのはカンタンでしょう。

でも、まだまだ日本ブランドの信仰は高いところでは高いという、そんな事例です。

確かに、長年に渡る不正をおこなっていたという日産やSUBARU、神戸製鋼は許されていいものではありません。

しかし、ことさらにこれらの報道ばかりを繰り返し、日本の製造業が死んだかのような印象を、日本人に与えてしまうのはいかがなものかと思うのです。

なぜなら、一方でセキスイハイムのような企業もあるということですし、日本ブランドはまだまだ健在。

こんなご時世なのですから、暗い話題なんかより、もっと明るい話題のほうが必要だと思いませんか?