米航空宇宙局(NASA)は27日、爆発的な噴火が続くバリ島周辺で、火山から放出された大気汚染物質である高い濃度の二酸化硫黄(SO2)を地球観測衛星がとらえたと発表した。
バリ島東部のアグン山では21日以来、噴火の勢いが日ごとに激化しており、特に25日以降は1日に何度も爆発的噴火が相次ぎ、インドネシア国家災害管理局(BNPB)は警戒レベルを最高位に引き上げた。
相次ぐ噴火に伴って発生した噴煙の影響で、大量の火山灰が飛散し、島南部の国際空港は滑走路を閉鎖し、3日間の運行停止を決定している。
上空のオゾン層や大気の質を観測するNASAの地球観測衛星オーラは27日、アグン山から放出された有害な火山ガスをとらえた。
高濃度の二酸化硫黄が含まれており、大気中で化学反応を起こすと、硫酸となり、酸性雨を降らせる原因となる。
27日現在、大気中のSO2濃度が最も高いのは、火山に近いバリ島東部上空だが、気流に乗って北西から南東方向に広がりつつあるという。
BNPBは「噴火の規模はさらに大きくなるおそれがある」と警戒しており、火山活動の行方は見えない状況が続く。
二酸化硫黄は刺激臭があり、呼吸器を刺激して咳や気管支喘息、気管支炎などを引き起こす。
濃度30〜40ppm以上で呼吸困難を引き起こし、100ppm以下の環境に1時間近く止まると危険だと言われる。
日本では、高度経済成長期時代に三重県で起きた四日市ぜんそくのほか、1950年代に英ロンドンで1万人以上が死亡したロンドン・スモッグなど、公害事件と深く関わっている。
【日時】2017年11月28日(火) 16:53
【提供】ハザードラボ