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身の回りにごまんといる細菌やカビなどの微生物は、利用の方法によって、抗生物質を作ったり、酵母や醸造のように人間生活に有益をもたらす反面、害をなすこともある。

マサチューセッツ工科大学（MIT）のチームは、遺伝子操作によって赤・緑・青で絵を描く大腸菌を作り出したというからオドロキだ。

MITで生物工学を研究するクリストフゼ・フォイクト教授が、大腸菌にお絵描きを教え始めたのはなんと12年前。

大腸菌に特定の色の光に反応する遺伝子を挿入することで、その色の光を照射したときに遺伝子が活性化され、色素を生み出す技術を開発したのだ。

2005年当時は白黒画像しか描けなかったが、その後、改変する遺伝子の数を4つから18個に増やしていった結果、今では光の三原色の色素を作れるようにまで発展した。

今月22日付で『ネイチャー・ケミカル・バイオロジー』に公表された研究成果によると、「大腸菌画伯」たちは培養皿のうえで、エッッシャーのだまし絵から、スーパーマリオに果物のイラストなどを器用に（？）描く。

絵の模写だけなら「なんのためにやってるの？」で終わりそうだが、クリストフゼ先生が目指すのは高みにある。

細菌の機能を光で遠隔操作する技術によって、将来的には抗生物質や抗菌剤の量産や、生体移植用の組織や器官の形成に結びつけたいという。

目下のところ、大腸菌画伯が色素を産出するようになるまでは8時間も光を照射させなければならない。

研究チームは将来的には、三原色に加えて中間色やもっと繊細な色を作れるようにしたいと話す。

さらに、大腸菌は当然のことながら眼はないが、光を認識してたり、食物を見つけたり、危険を察知する機能を持つことから、分子レベルでは刺激に反応する何らかの感覚があるのだろうと、これからの研究に意欲を見せている。